先日神戸で本当に素敵なお料理をいただいてきました。これ見てください。どやって作っているんでしょうか。再度分解して食べたいほどですが、これ人参で作った前菜なんです。これほかの角度から見てもまた違う景色。3Dで味わえるお料理なんです。

 

そんな素敵なお料理がいただけるのは、10月15日神戸三宮にオープンしたフランス料理店『entre nous(レストラン アントル ヌー)』です。

 

オーナーシェフの髙山英紀氏は2015年と2019年にボキューズドール国際料理コンクール日本代表であると共に、監修されている台北ランディスホテル内にある『Paris 1930 de Hideki Takayama』は、先日発表されたミシュラン台湾で1つ星を獲得されました。こんなに優しいお顔ですが、グローバルにご活躍されているアイアンシェフなんです。

 

三宮の新店舗は、まさに髙山シェフの想いが詰まったお店。建築は大工である兄上によるお店とのことですが、かなり贅沢な造りになっています。しかしながら豪華な感じではな居心地の良さに重きを置かれているのは髙山シェフのセンスですね。おり料理はもちろんのこと、インテリアや器選び等、全て髙山シェフのセレクトとのことです。こういうのって普段から目を養っていないとできないんです。世界的にご活躍されるシェフの審美眼というか追及の奥深さ、そして経験からなら導線等感じずにはいられない、素晴らしい空間でのお食事です。

image

 

海をイメージしたという壁はLODO WORKSの左官職人 江口征一氏によるもの。

 

神戸の山の風景を組み木のように連ねた木製アートはお兄様作。この時型のカウンター席に座ると、神戸を感じる空間造りがされていました。

 

カウンターは土で作り磨きをかけ、温もりのある手触り。陶芸家の大村 剛氏、 黒畑日佐代氏、大橋睦氏の器など、ひとつひとつ髙山シェフが選んだものです。その統一感というかコーディネイト力は素晴らしく、筋の通ったポリシーを感じます。

 

メニューはこんな風に一枚ずつめくるもの。本当に髙山シェフって心温かな人だというお人柄が、細部まで神経を使われた備品等からも伝わってきました。

 

 

柚子スカッシュと台湾紅茶の泡

台湾にプロデュースされているお店があることから中国茶にはまったというノンアルペアリングはお茶を中心に作られたものでした。今後また違うものもラインナップされるかもですね。

.

 

大地の恵み

明石海峡の一皿、新しい芽吹き、井尻さんのトマト

まずは前菜が大きな器に盛りつけられて出てきました。歓声が上がった瞬間です。

 

 

井尻さんのトマトのスープ、百合根モンブラン卵黄、真鯛湯引き

ショープレートの上に置かれた美しいアミューズグール。真鯛の湯引きは赤穂紫蘇で爽やかに。ゆり根はねっとりしたテクスチャーと柔らかな口当たりのモンブラン仕立てゆり根か中からは卵黄が出てきてカルボナーラのようなねっとり感の共演です。そして井尻さんのトマトのスープの美味しいこと。優しい甘さはこのトマトだからこそできたスープですね。トマトコンソメの軽い酸味が心地よく、六甲のフロマージュブランと合わせてミルキーさとトマトの味わいを引き立てたグラススープ。


 

 

マッシュルーム (岡山・ミツクラ農林) 

おとぎの国から飛び出てきたような器が運ばれてきました。中をのぞくとフランの上には茸が生えた森のイメージ。目の前で繰り広げられるおとぎの国は、茸をたっぷり味わえる、マッシュルームと野菜のブイヨンのコンソメが目の前で加わったマジックスープのよう。まずは旨味が凝縮したスープで体を温めてウォーミングアップ。

 

 

マッシュルームのタルト

パリパリの極薄生地にマッシュルームのペーストとマッシュルームのスライス。

ミツクラファームのマッシュルームを余すことなく堪能させていただきました。

.

 

発酵バター

バターには押印が。淡路島の藻塩を使っています。

 

ブリオッシュ

ほんのり甘さのあるブリオッシュは、ひとつの料理としても完成しています。

.

 

丹波たぶち農場より

黒枝豆 渡り蟹  ジャパンキャビア

渡蟹蟹と丹波の黒枝豆の共演です。豆の根っこで蟹を表現された一皿。根っこはショープレートでも使われておりましたよね。髙山シェフの軽やかなお料理の土台はしっかりとした技術の上にあるという印象が強をつけます。シェフは優しいですが、確実に芯が強いですもん。宮崎県産の蟹のほぐし身には、ジャパンキャビアでしっかりと海の味わいをプラス。フレッシュな黒豆を使い、海の素朴な味わいも味わえます。秋茄子のピュレと一番出汁のジュレでこの空間でいただくにふさわしいお料理でした。

.

 

毱栗に見立てた一皿

大村さんの栗

三輪そうめん 

シェフのスペシャリテです。いかにも秋の気配を感じるお料理ですね〜。

 

三輪山本のそうめん「白髪」を丁寧に一本一本刺すという根気のいる仕事の末に登場したスペシャリテ。丹波栗のペーストを使い、パリパリっとした素麺の食感の後、栗の味わい、そしていウイスキー「響」の味わいが立ち上る完成度の高い一皿。丹波や山崎の山を想起させる関西の秋を堪能させてただきました。

 

 

折り紙

貝 人参

ボキューズドール世界大会で披露したというこちらのアートのようなケーキ。お皿をくるくる回して全方向から眺めたくなる美しさのこのシャルトリューズは、大会でも世界の審査員を魅了したに違いありません。まさにアート。記憶に残る一皿です。

 

味わいも素晴らしく、実はこちら2色のにんじんで作っているんです。土台はホタテ貝とディルで作ったケーキで、芯のしっかりした味わいですが優しい。中から柚子の香りがし高揚感で心躍ります。海外の審査員にはたまらなかったでしょうね。上には一枚、んとね・・・似たもので言えばはんぺんなんだけど、そのふわっとした柔らかさや味わいはたまらなく美味しいのです。下には炭と味噌で描かれた8個で1ホールにした時の展開図になっています。甘味は旨味。決してデザートではない美しい前菜。

 

 

全粒粉を使ったパンは素朴な美味しさです。

 

 

オレンジ55 シャトーブリアン グリエ

じゃがいも 小茄子

そして火入れの技術とお肉のクオリティーを堪能させていただいたのがこのお肉料理です。ボキューズドールで鳥取県とのパイプのある髙山シェフですが、そのご縁もあると思うのですが、まずは肉質が素晴らしかった。シェフは今日はとても良いものがありましたのでお出ししましたとおっしゃっていましたが、唸る美味しさですよ。お肉あたりになると、食事して、おしゃべりして、写真を撮って、最近は動画も撮っているのでかなり疲れるので、前のお料理で幸せマックでほんわかしていたのですが、ほんとお肉を一口食べた瞬間目が醒めました!!構成もメリハリが効いていましたね。

 

 

ストレスを全く感じないお肉は、しなやかで柔らかい。お肉の旨味はじんわり伝わる感じで、口の中に柔らかに取り込まれていきます。ガルニチュールは、じゃがいもはキノコのピューレ入りで、牛骨に見立てる可愛らしさ。茄子は嫌いだけど、こんな可愛らしく盛り付けられてきたら食べちゃいますね。中には牛筋肉の煮込みが入っていました。玉ねぎ、赤味噌のソースで、生粒胡椒も入れてちょっと刺激も♪

.

 

食材を大切に想う一皿

檸檬の皮を練り込んだ自家製ラーメン 

毎回最後には自家製ラーメンが登場するそうです。ツルツルっと爽やかなラーメンです。季節ごとに、またその日によって使う食材が変わるので、まさに一期一会。今回はレモンの皮を練り込んだ麺に、その日に出た魚とお野菜を使い、昆布のお出汁を加え作った旨味溢れるスープです。淡路島産の玉葱と鳥取県産のワカメを添えて。

SDGsなラーメンなので意味がなくなっちゃうけど、これは是非通販して欲しいです。

.

和梨と酒粕 

坂田さんのレモンバーベナー

淡路島花牛乳と蜂蜜

池の中に浮かぶ景色を思わせるアヴァンデセールでした。レモンバーベナーで作った渦巻のジュレは爽やかでここに日本の味覚が加わりふわっと酒粕や蜂蜜の広りました。

.

福岡県八女より倉住さんの抹茶

想いを繋ぐ

温かいミルフィーユ

「千枚の葉」の意味をもつミルフィーユはですが、この薄い繊細なフィユタージュを見ると、まさにこの言葉が思い浮かびます。香り高い八女茶のクリームで作ったパリっとした軽い食感が食べていて心地よい繊細すぎるミルフィーユでした。

.

小さな焼き菓子

チョコ・セップ

ガレット・ブルトンヌ

秋を思わせるセップ茸型のクッキーはもちろんセップのパウダーで。ガレット・ブルトンヌはバターの香り高いもので、じんわりとお食事の余韻が楽しめました。

 

お茶は中国茶で。

 

しっかりした味わいの東方美人で。お茶は中国茶も紅茶も同じ名前でもかなりばらつきがありますが、この東方美人はかなり美味しい。高山シェフは台湾に監修されているお店をお持ちですが、そんなきっかけもあり中国茶にはまったとか。いつか高山シェフの中国茶ツアーにご一緒させていただきたいです。

 

 

ホームページに「美の追求」とありましたが、まさに長年にわたり美を追求してきた髙山シェフの鍛錬と技術、そして料理以外にもさまざまな美に触れてきたシェフの集大成が、ここにはありました。また料理は写鏡なのか!とシェフの温かなお人柄が全てにわたり伝わるお店で、神戸の美しい洋館や自然、モダンな風景を見た後に、その余韻を楽しみながら食事をしたいレストランです。また訪問したいなと思います。

 

 

 

 

entre nous(レストラン アントル ヌー)

兵庫県神戸市中央区中山手通1丁目25−6 ラ・ドルレイ神戸三宮ビル2F

078-855-3571

17時半~18時半入店、21時まで
土・日・祝日のみランチ営業あり(ディナーと同メニュー)
1万5000円(税、サービス別途)
2万5000円(税、サービス別途)〜

▼予約はこちら▼

 

entre nousフレンチ / 三宮駅(神戸市営)三ノ宮駅(JR)神戸三宮駅(阪急)
夜総合点-