お椀の蓋を開けた時、ため息が出るような松茸が出てきました。
今年はやっと伺えたお店で、素敵な松茸をいただくことができ幸せもひとしおです。
数年前友人と久しぶりに『霞町すゑとみ』に行きたいねと話していて、閉店されたことを知りました。そんな話の後に新型コロナウイルスの感染が世界に広がり、すっかり忘れていましたが、とある時私の目に飛び込んできたとある雑誌で、ででーんと見開きで末冨さんが紹介されていたページ。しかしながら住所非公開?ってことは、誰かに紹介してもらわにゃぁ〜っということで、予約が取れそうな友人にちらっと聞いてみると、ビンゴ!!一発で辿り着きました。「ちょっと先になりますがお声がけします」と約束してくれて、とうとうこの日がやってきました。本当に楽しみにしていました。
すっぽんと河豚の白子
スタートは優しい口当たりですが旨味が強い白子とすっぽんが乗った茶碗蒸し。
少し寒くなった季節。スープではなく茶碗蒸しで少し体を温めてスタートです。
目の前にあるもんですからワクワクものですね。今回は岩手の松茸でした。
松茸と毛蟹
お椀は開けた瞬間松茸の香り〜。しかも見ただけで極上♪思うほどの素晴らしい松茸が入っているじゃないですか。よく香り松茸味しめじっと言いますが、でもこのクラスになると、松茸の味わいもしっかり感じられ、また香りも濃厚なのでもう脳みそまで松茸の味と香りになるわけです。シャキッと歯応えがあり、松茸のエキスは抜けるような味わいです。ここに甘い毛蟹がくるとそのコントラストもいいんですよね。最高の出汁に、ゴージャスな松茸や蟹。極上のご馳走ですね。
河豚と雲丹
今回はこちらがお造りになりますかね。今年初の河豚は豪華に登場しました。
河豚はキレイな脂の乗り。そして風味がエレガントです。皮もキレイに湯引きに。
唐津の雲丹は甘味が強いのにエレガント。少し昆布の風味を移してコクをプラス。
穴子寿司と銀杏
このシンプルな料理が美味しかったのですが、出汁でふっくら炊いた対馬の穴子は優しい口当たりで、これを損なわないよう優しく焚かれていました。本当に美味しいとお伝えすると、そもそも届くものも極上なのですがその中のピンを使っています。なかなかないんですが、それほど上質の穴子でないとこの味にはならないと。
とても良いものを食べた気分でした。銀杏の塩味が箸休めのように。
河豚の唐揚げ
これはかぶりついて食べた感じですが、骨の多い部分でしたので、ちょっと食べるのが難儀でしたが、美味しいところは油と醤油などでさらに美味しく。
無花果の白和え
白和えと書きましたが、豆腐のソース掛け。ほぼ無花果という贅沢な白和です。無花果は佐賀の富田農園の黒無花果です。甘味の強い無花果はとろ〜っとした豆腐ソースのテクスチャーと合間って口の中で交わり、とろけるように消えていきました。
のどぐろと松茸
脂の乗ったのどぐろはふわりと焼かれています。ここ皮の香ばしい香り。蒸し焼きにするように丁寧に焼かれた松茸は、みずみずしさも残し、少し香ばしさがましているので、しっかり風味が味わえる感じ。力強いのどぐろに負けない味わいでした。
丹波の栗
立派な丹波の栗は渋皮煮にし、蒸したあとに葛子をまぶして揚げ、出汁をかけています。揚げてあるため渋皮が少しカリッとしていて香ばしいく、甘味が強いのでいい方は適切ではないかもしれませんが、まるで揚げまんじゅうの餡のような甘さです。ここに出汁が加わりなんとも言えない美味しさ。これはいくらでも食べられます。
鱧は骨切りの心地よい音も和食の一興。末冨さんは軽やかな音でした。
表面を見ただけでも鱧が美しく美味しいさへの期待が高まります。
鱧と松茸
鍋には末冨さんがカウンターの向こうから、出汁の入った小鍋に松茸のスライスを鍋に入れてくださいました。この中で鱧もしゃぶしゃぶ♪
松茸も出汁を吸ってさらに美味しく。鱧は生と炒めて甘味のある玉ねぎが入った風味立つポン酢か梅肉でいただきました。鱧の脂にさらにコクを加える感じで、鱧の美味しさがさらに引き立つ美味しさでした。
先ほどの鱧松の旨味が染み出たお出汁は器に移し替えてくださいました。
ご飯は3種あり、悩んでいると2種でもいいよと言うので雲丹と舞茸をチョイス。
舞茸はこれでもかと言うくらいたっぷり入っていました。舞茸の風味が強く、また舞茸の旨味がご飯に移り、舞茸で正解だね〜と大満足。
ご飯よりも松茸が多い松茸雑炊が登場です。たっぷり松茸をいただけて幸せ♪
いくら、牛肉の時雨煮、しらすとゴージャスです。
雲丹ご飯もいただいたのでここにはいくらものせて。
山芋と茄子の漬物
末冨さんから、これを食べると分とく山を思い出すでしょ〜と言われましたが、この山芋の漬物は分とく山で必ず出てくる漬物なんです。末冨さんとは分とく山の話に花が咲きましたが、ご出身のアイデンティティーが残っていてなんだか嬉しい。
シャインマスカットのゼリー寄せ
最後は爽やかな季節の葡萄をゼリー寄せにして水菓子に。
『霞町すゑとみ』時代もとても美味しく、かなりの人気で、昼も入れて1日3回転していたことでかなり消耗されてしまったようで、数年海外でお料理を教えながら充電をされていたとか。再び開業後はコロナが猛威をふるっていたので、予約を制限して非公開にしていたら、紹介性と言われるようになってしまったとのことでしたが、現在も住所と電話番号は非公開なので、知ってる人のみいけるプラチナシートです。
久しぶりにいただく末冨さんのお料理は相変わらずセンス抜群ですばらしく、ちょうどシーズン的に松茸の季節だったこともあり、素晴らしい松茸を堪能さていただきました。『霞町すゑとみ』の頃と比べるとお値段は倍以上?ですが(初期の頃しか行ってないのいで)、和食っていいな〜というようなじんわり染みるお料理を出してくださいました。昔から腰が低く、物静かな末冨さんの姿勢はそのままに、食材に真摯に向き合い美味しいお料理を作っていただき、大満足の時間でした。
末冨
東京都渋谷区
住所・電話非公開