少し前のことになりますが、2020年2月にオープンし、あれよあれよと人気になり、予約が取れないということでも有名な大阪のレストラン『Funachef (フナシェフ)』に行ってきました。オープン時にチェックしていたものの、その人気の速度が早すぎて追いつけなく、完全に乗り遅れましたが、友人のお誘いでやっと訪問できました。
なるほど、これは予約が取れないのも納得。素晴らしいクオリティーでした。
「『ガストロノミー=大量のフードロス』という通念を覆したい。工夫次第で不人気な部位や素材も、いくらでもおいしくできます」との信条が、シェフの料理の根源。
お皿の中にふんだんに食材を使い、楽しくダイナミック。ビストロのような楽しさもあり、ガッツリ楽しくフランス料理が楽しめるカウンターレストランでした。
お店のエントランスはぐるっと回って隠れ家のような路地にありました。
一斉スタートのこちらのレストランは、営業時間になると、こちらの看板やドアの上のライトがキラリーんっと明かりがが灯り、お店の方が出迎えてくれます
昭和な感じのアーケードのある天満ですが、中に入るといきなりスタイリッシュ。
店内はキッチンを囲むようにカウンターがあり、奥はテーブルのようになっています。
オーナーシェフの船岡勇太氏はパリ「ステラマリス」などで勤務後、サッカー本田圭佑選手の専属シェフとして、世界の活動拠点に同行し世界をみてこられました。そんな感性や経験が融合し作り出すお料理は、「シェフ、食べるのが好きでしょ」とすぐにわかる料理の数々を作り出してくれました。
まずは、涼し気な雲丹の前菜から。下にはカリフラワーのムース、そしてトマトのジュレです。3種の海老とアボカドなど口当たりの良い食材の組み合わせ。最初は滑らかに風に口の中にすべり込んでいくお料理でウォーミングアップ♪
いきなりガッツリした前菜が登場しました。一週間熟成させた金目鯛は旨味をこの中に閉じ込めたような美味しさ。シュガーピーの豆の甘味とライムのソースの組み合わせ。最後はキャビアと、ぎゅっとまとめて実は豪華なお料理の完成です。食材はガッツリですが味わいは優しくい。気は優しくて力持ち的ヒーロー的な船岡シェフが作り出していると納得の一品。
スープの中には牛肉の深い味わいコンソメと白甘鯛の上品な味わい。こういうコンソメを飲むと、ほっとしますよ。本当に。
螺鈿のように輝く身の色合いお分かりでしょうか。
この白甘鯛だけでも美味しかったのですが、
フランの中からは、蝦夷鮑が現れた玉手箱のようなお料理。
パンは自家製で。ふわふわでお料理の味を邪魔しないもの。
そして出てきたのは、なんともゴージャスなとうもろこしスープ♪
スープを注ぐ前も見ているので何が入っているかわかっているのですが、白とオレンジ、そして緑のコントラストを計算したスープですね。白いスープが目の前
で注がれていく様は、いかにも涼しげ、そして楽しい。
ここに入っていたのは、とうもろこしはもちろんのこと、白貝、ほたて、雲丹、じゅんさい。バニラのソースの入ったとうもろこしソースが食材の甘味の甘さとマッチし、それぞれの食感が楽しい山海の旨味の共演でした。
丹波地鶏のグリルは、アスパラガスそしてアスパラソバージュとの組み合わせ。ソース・グリビッシュと、サマートリュフが添えてあり香りも豊か。
丹波地鶏は肉質もしなやかな焼き上がりでした。
鱧のグージョネット。サクサクのフリットに仕上げてありました。ソースはトマトといちご。添えてあったのはリコッタだったかな。ケンサキ烏賊ときゅうりの爽やかなガルニチュールが添えられていました。
シェフが最後にスープを各お皿にかけていきます。
お魚は、オナガ鯛のスープドポワソン。表面はしっかり香ばしく焼いて、肉質はふわっと焼いたお魚とに、トマトの旨味とサフランの香りを加えたスープでした。
牛のラム芯は赤ワインのラタトゥイユ添え。間引きしたズッキーニなんかも入っていました。可愛いですね。フナシェフのお皿はモリモリで具沢山です。
デザートは、オレンジとカモミールのジュレを添えたブランマンジェ。レモンの泡で爽やかにいただきました。
アプリコットは角切りに入っていて、じゅわぁ〜っとしたフレッシュな甘さのアクセント。最後はつるんと爽やかな〆でした。
最後はアマンドバニーユという杏仁豆腐のような味わいの紅茶。ウーフさんでした。
まずは美味しいことが大前提ですが、フレンチといってもビストロのような気楽さと心地よさがあるお店。それもシェフやマダムの気さくなお人柄の賜物だと思います。
空間もナチュラルで気持ちよく、フランス料理にしてはミニマルなお料理ですが、食材を捨てることなく、しかしながら豊富な種類の食材を使い具沢山。大家族のお家に行っておっかさんのお料理を食べている感覚もあるほどです。お料理をいただくと、「皆さん、お腹いっぱいになって帰ってって〜。帰れにラーメンとか食べにいかないでよ〜」と思っているに違いない。カウンターで距離も近いですが、気持ちの距離も近いお店だと思いますした。最後シェフ自らがカトラリーを片付けている姿が印象的。考え方も合理的なんでしょうね。循環型レストランとはいえ、13000円でこれだけのふんだんなお料理を食べさせてくださる船岡ファミリーの真心に触れた時間でした。
また今年2月には「フーナ(Fu-n@)」という食堂もオープン。フナシェフはなかなか予約も取れないので、次回はこちらも狙いたいと思います。
大阪府大阪市北区黒崎町6-4
06-6450-8565