秋田『f (エッフェ)』。紹介制・住所&電話番号非公開のイタリアンレストラン。こう言われると、ちょっとたじろぐよね。こういう時に縁のないお店って次の一歩が踏み出せないけど、ご縁のあるお店っていうのは、スムーズに行けちゃうもんなんです。

 

 

たどり着いたのは看板の出ていない雑居ビル。ここでいいのかな?と半信半疑で階段を登ると、店舗入り口だよね?という場所にこんな看板が出ていました。ふむふむ、、、なんとか場所を突き止めた人たちが、「予約できますか〜」とお店に入って来たことがあるに違いない。そりゃ、電話番号非公開だったら、「いっちょ、行ってみっか〜」って気にもなりますよね。しかしながら紹介制のその店は、ここでしっかり紹介制の所以たるルールを全うしていたのでした!

 
 
さてさて。お店のドアを開けると、オーナーシェフ自らDIYされたというアースカラーオレンジに塗られた壁がクランクしたような設計になっています。カクカクと曲がり奥へ奥へ進み、到着したのは、8席ほどのカウンターでした。しかも、ワンオペ!!料理もサービスも一人でこなされるというスタイルでしたが、これが圧巻でした。
 

 

 ひろっこ 毛蟹

毛蟹をふんだんに使い、山野に自生するアサツキである「ひろっこ」。1メートル以上の雪の下から掘り出されるアサツキの若芽で、早春の野菜として出回るとか。

まさに秋田に春を告げる野菜からスタートです。

 

 

 

のどぐろ うるい 弓削瓢柑

またまた春を告げ山菜のうるいを使い、弓削瓢柑(ゆげひょうかん)と合わせてマリネに。上にはのどぐろのソテーを重ねています。のどぐろの皮目は香ばしく焼かれ、脂も乗っているのでしつかりした味わいですが、柑橘類の爽やかな酸味が爽やにのどぐろを食べさせてくれました。

 

 

八森のたこ セルリアック 

八森漁港で水揚げされたたこは、塩だけで茹でシンプルに。平成18年に合併され、現在は八森ではなく八峰町になっているとか。しかしながら現在も「はちもり」という名前は漁港などにも残っているようです。タコはむっちりしていて弾力があります。野菜の甘味のあるセリルアックのピュレをディップにたこを一緒にいただきました。

 

 

男鹿産のさくらますのキャベツ包み

サクラマスつぶして手ごねすることで、滑らかなに。人の手の温度はこういうところにも絶妙な味わいを作りだしてくれたようです。 キャベツ包みになっていましたが、マスのしっかりした味わいはちょっとお塩を強めという感じ。上からはレモンのオリーブオイルをかけシンプルなお料理になっていましたが、このレモンのオイルが絶妙で、苦味がサクラマスの力強い味わいにしっかりアクセント。印象深い料理でした。

 
 

ヨロイイタチウオ プチヴェール

ヨロイイタチウは高温で一気に火入れをすることでその上品な肉質を損なうことなく焼き上がります。プチヴェールは一度茹でてから炭火で炙り、パリパリっとした苦味のようなものもありました。そして、この人変態、、、と思ったのは、入手困難なクラテッロ ディ ジベッロを乾燥させてて、鰹節みたいに使っているの。もちろんこれは旨味の塊なわけであって、凄くいいアクセントになっているんですが、これまたプチヴェールのパリパリに焼けた苦味ともよく合うんです。まじに痺れたお料理でした。

 
 
大館さくら豚 山菜のズブリゾローナ
雌の肩ロースをローストし、バルサミ酢かな・・ちょっと甘めのソースで味付けしています。上には、ひひこひとさしぼ(聞き取れなかった)という山菜をイタリア菓子のズブリゾローナのようなパリパリっとしたチップにして、香ばしいアクセント。
山菜の味を知っていれば、もっとこのお料理の魅力が膨らんだかもw
 
 
本カサゴと蕗の薹の紙包み焼き
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本カサゴは、甘草や由利本荘産の重兵衛トマト、オリーブの入ったスープで紙に包み蒸し焼きのように登場しました。トマトの甘味がわかるほど甘く美味くてちょっとこのトマト欲しいと思いました。カサゴはふっくら火が入っていましたが身もしっかり。かさごの旨味の滲み出たスープも美味しく最後までいただきました。
 
 
2種の自家製パン
2種の表面が香ばしく焼けた熱々の自家製パンをだしてくれました。一つは少し生地が甘めのプレーン、そしてもう一つはごまの入った力強い味のもの。パンも素朴ながら絶品で、特に表面が香ばしくパリッと焼かれているのにその厚みが薄い所が魅力的。
 
 
コシアブラとクルミのリゾット
秋田食材を使ったイタリアン『エッフェ』では、リゾットのお米も当然「秋田こまち」を使っています。ホタテや蛤、白貝、ホッキ貝などさまざまな貝類からとった出汁で炊いたリゾットには、コシアブラの香りとクルミの甘味が広がります。チーズにちょっとバターみたいな味がしたのはクルミの油脂かな・・・。
貝類の力強い味わいとお米とクルミの甘味が絶妙なリゾットでした。
 
 
比内地鶏のもも肉の炭火焼き
秋田の比内地鶏はもも肉を香ばしく焼いていました。しっかりした肉の味わい。肉を解体し水で煮出したスープにはペコリーノチーズを加えたソースを。肉の旨味もしっかりしていましたが、それとチーズの旨味がしっかり融合したようなお料理でした。
 
 
サザエと百合根のサルサベルデ
サザエと百合根はギョウジャニンニクのサルサベルデであえて。サザエの濃厚な旨味と百合根のほっこりした甘さを楽しませていただきました。
 

秋田錦牛のグリル
外もも肉にゆっくり火を入れて焼いています。ちょっと乳酸っぽい味がしたんだけど、熟成なのかな・・。野芹、山うど、そしてホワイトバルサミコ酢でマリネしたパイナップル、仕上げにはペコリーノチーズかな・・・を添えていました。
 
 
ガトーショコラ
そしてまたまた面白かったのが、こちらのデザート。どうみたって普通のガトーショコラですが、こちら比内地鶏のモツなどの内蔵系とチョコレートを合わせたガトーショコラなんです。モツーーーーーっと、きっとこれをお読みの誰もが驚いたことでしょう。もちろんモツの味なんてせず、美味しいガトーショコラなんです!!黄金柑といちごのマチェドニアを添えていて、チョコレートにより膨らみを持たせています。ガトーショコラの作り方を考えてみたら、バターを入れるよな・・・と。バターの代わりにホルモンの油脂を使ったのか・・・などと素人なりに考えてみました。少しナッティーな味がしたり舌に引っかかる(悪い意味ではなく)感触があったりするのですが、これが内臓系を使った特徴だとか。数種類のスパイスも巧みに使い、お肉の内臓がなんとも素晴らしいドルチェに変貌したという魅惑のデザートでした。これにはまいった!!
 
 
紹介制というハードルを超え、ここかな、、、と緊張しながらお店に入り、知っている秋田食材はびっくりするような味わいのお料理に昇華した、初めて出会った山菜などの食材も登場し、エキサイティングな時間でした。しかもワンオペでこなされる。
 
お隣にいらした素敵な知的女子は移転前のお店からの常連さんで、いかにも美味しいお料理とワインがお好きなお二人だったのですが、幸せそうに食べている姿から本当に食べるのが好きなかたと思い、声をかけさせていただきました。時折旅先でもあるのですが、美味しいものが好きなものはすぐに打ち解けられますよね。店主も交えいろいろお話をさせていただき、食後も長居をしてしまいました💦
 
秋田では交通費と時間を使っても惜しくない秘密のイタリア料理店に到達し、魅惑の時間を過ごすことができました。エッフェの料理ははまだまだたくさん引き出しも持っていて、深掘りしたら更に楽しそうなので、確実に再訪したいと思います。
 
 
 
f (エッフェ)
秋田県秋田市中通
紹介制・住所・電話番号非公開
 
 
 
 

 

fイタリアン / 秋田)
夜総合点-