オーベルジュ『villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)』は、2020年11月に能登の七尾にオープンしたオーベルジュが旧塩津海水浴場跡地にオープンしました。
目の前に海が広がり、水面の煌めきと燦々と降り注ぐ太陽の光。
海からのパワーが店内の吸い込まれていくようなそんな時間を体験してきました。
オーナーシェフの平田明珠は東京練馬区出身。平田シェフは都内のイタリアンの名店で修行をされ、2016年レストラン『villa della pace』を開業。その後、この地に移転し、オーベルジュとしてリニューアルオープンしました。平田シェフと私が出会ったのは自宅近所の都内の小さなレストラン。平田シェフはまだ無名でしたが、何気なく作るパスタがとても美味しく、お店の外から平田さんの顔が見えると、パスタを作ってもらっていたものでした。いつの間にか平田さんの顔が見えなくなり・・・。たまたま予約した七尾の『villa della pace』で、2016年に再開しました。その後、RED-U35にてシルバーエッグを獲得、Barilla Pasta World Championship 2018 日本代表となるなど、目覚ましいご活躍をされ有名に。移転のお話を聞き、とても楽しみにしておりましたが、なかなかコロナで訪問できずやっと昨年秋に訪問が叶いました。
海沿いに建つレストランは、もうこの上なく贅沢です。
入り組んだ七尾湾にある『villa della pace』。目の前には海と山を同時に見ることができます。こんな風景を見ているだけでも心がほぐれる気がします。
建物のになかに入ると、室谷文音さんに夜ロゴが書かれた額縁が。
こちらは、ホームページなどにも使われています。
『villa della pace』は、Gault & Millau 2020、Gault & Millau 2021に掲載。
ミシュランガイド北陸2021特別版では一つ星とグリーンスターを獲得しています。
昔から訪問しているお店がミシュランを獲得するのは、本当に心がじ〜んとしますが
『villa della pace』がどんどん有名になっていき、ミシュランを獲得され本当に嬉しかったです。成長するシェフの姿を見るのは、本当に嬉しいものです。
店内は大きな窓から見える景色が絵画のようになっていて、気持ちいい空間。
座ったまま景色が見えるって最高ですね。
店内は、平田さんが一つ一つセレクトした家具や小物などが並びます。
食事中は輪島や能登の作家さんが作られた器やカトラリーなどが登場します。
メニューは、風合いのある紙にプリントされて、こんなことが書かれています。
能登の里山里海の恵みに感謝の気持ちを抱き、
豊かな自然を表現することが私たちの目指す料理の形です。
裏面には、食材、器・カトラリー、空間演出された方達の名前が連なっていました。
乾杯は泡から。
車で移動の方も多いのでノンアルコールもしっかりご用意されています。
まず、輪島塗りのお椀が登場しました。
蕎麦がき 釈迦しめじ
蓋を開けると滋味深いきのこのお椀。石動山の蕎麦粉を使いふんわり作られた蕎麦がきが入っていました。釈迦しめじのほかには、神子原(みこはら)の谷間のきのこなど
のが入った地味深くも優しい味わいで、近くで採れた柚子を含め塩も含め能登産で。
里山里海に感謝した、パーチェからのコンセプトが込められたようなお料理でした。
アミューズ
この里山里海の風景を眺めながら食べるにふさわしい小さなスナックは、
大きな石、小石とぶどうの小枝、五穀米の上に乗って登場した小さな宝石。
可憐なタルトはさつまいもで作られた器の中に、ストラッチャテッラと柚子みそを。
上には、コスモスの花びらを添えた可愛らしい秋の風景ですね。
メレンゲにはアンチョビバターと生姜の葉のパウダー
ポン菓子の上には、サンマルツァーノトマトのソース。
上には、七面鳥の生ハムと鯛の昆布〆を使い、トマトのパウダーで仕上げています。
ポン菓子のサクッとした食感とねっとりした鯛のコントラストも楽しい。
アオリイカ 背脂
純白で美しいお料理は、息を呑むよう美しさ。今回いただいたお料理の中でもかなり印象に残っています。しかもこれが魚介や豚で作られているのですから食べた時のギャップに驚きます。真っ白のアオリイカはねかせて旨味を引き出しスライス。さらに旨味が増すよう所々ラルドを仕込ませて。玉ねぎはセビーチェにして旨味と酸味のアクセント。柚子の香りと蜂蜜の甘さなど、旨味と風味が融合した一皿でした。
甘鯛 パプリカ
甘鯛は一度焼いて、鱗を揚げてパリパリに仕上げています。
パプリカソースには、ゆうなんばでほのかにピリッしたアクセントも添えて。
パンは朝から行列の月とピエロのもの。
スパゲッティ 松茸
松茸と芝茸を使った秋の贅沢なスパゲッティです。天然の風味良いミツバを使い
アクセントにはいしりを使っています。芝茸でとろみをつけ、食材を生かした
一見シンプルですが計算され尽くされたスパゲッティーでした。
ラザーニャ 栗 猪
季節の食材を使いコースの中によく入れているというラザーニャ。今回は猪とたっぷりの栗を使って作られていました。栗はゴロゴロ実で入れているだけでなく、栗のパウダーをシートに混ぜ込み焼いています。りんごのバルサミコ酢や山椒も少し加え、スキットした味わいでバランスもしっかりとり、カーボロネロの苦味がアクセントに。
香ばしく焼けたラザーニャはほっこり甘く温かな味わいで秋の味覚を堪能しました。
畑
30種類を超える能登野菜を使い、塩とオリーブオイルだけの味付けで。
野菜のほかには、エディブルフラワーや野いちごなども加わり、野菜本来の味わいが楽しめるような構成に。能登が一気にいただけるご馳走サラダでした。
アラ 石崎蟹
脂が乗ったアラがたっぷり入りほどけるような滑らかな食感。石崎蟹をたっぷり使った出汁にトマトを合わせ、旨味がぎっしり詰まった贅沢なカチュッコですね♪
盛り付けて持ってきてくださいましたが、結構一つ一つの野菜も存在感がある。
石崎蟹のしっかりしたお出汁でお魚やお野菜を美味しく演出。
鹿 のと115
白山の鹿のしんしんを炭火で焼き、能登のブランドしいたけ「のと115」はコンフィに。ここにむかごや猪のコロッケなど野趣溢れるガルニチュールを添えていました。
ミツバやタネツケバナなどの可憐な野の緑も。
カキドオシのお茶にハッカを入れて。
カトラリーはお肉以外は金沢で製作をされている竹俣勇壱さんのもの。
ムベという果物を使ったデザートを作ってくださいました。不老長寿の果物と言われているそうです。初めあけび?と思いましたが、トキワアケビという別名もあるとか。
無花果 ムベ
ムベを使い無花果の葉の香りを移したミルクで作ったスープに無花果を添えています。スープはローゼルの蕾でほんのり酸味も加えてスッキリした優しいデザートに。
ちなみにこの器は石でできていて、友人に持ってもらいましたがかなりの重さ。
秋星 キハダ 山椒
キハダで炊いた「秋星」りんごにリームブリュレを乗せ、その上にクリームをたっぷり乗せていました。仕上げに山椒を散りばめ、軽い刺激を。少しハーブを添えて。
クリームなどが乗っていますが、ナチュラルな味わいで優しい締めくくり。
ハーブティーだったかな、もいただきました。
小菓子
ジャスミンゼリー、もちきりのクレープきな粉と合わせて、アモールポレンタ
和三盆と黒文字のメレンゲなどだったと思います。
平田シェフのお料理は自然の恵みを存分に生かし、この地に寄り添い
控えめながらも能登の地を生かした印象的なお料理を紡いでくれました。
このお料理を存分に理解し、ソムリエの塩士さんがワインをセレクト。
こだわりの空間で能登を感じるお料理と寄り添うワインと。能登に包まれた幸せな
時間が過ごせる、きっと能登が好きになるレストランだと思います。
石川県七尾市中島町塩津乙は部26-1 予約は公式サイトより |