おしゃれなレストランでもなく・・・でも居酒屋でもない。

ゆったりとつまみを食べながら、日本酒をしっとり楽しみたい。

大人の女子であれば、そういうお店を一つやふたつ

持っていてもいいんじゃないかと思っています。

 

まるでバーのようだけど、バーじゃない。小料理屋でも割烹でもない。

日本酒を、そして日本酒をより美味しくいただける酒の肴的な食事で

しっかりお腹も満たされて、価格面でもドキドキせず安心して楽しめる

こんなお店欲しかったのよね。そんな欲しかったお店を実現てくれたのが

銀座にある『季苑(KION)』です。

 

場所は銀座の地下2階。多分知らなきゃここには辿りつかない。

私も一度レセプションでお伺いし、その存在を知りました。

その後コロナでお店を休業されていたとのことでしたが、

再開されたというので今回再訪してみたというわけです。

 

レセプションの時の記事

 

店内は長いテーブルが鰻の寝床のように細長く伸びています。

カウンター8席のみ。ちょっとバーのようなお店です。

 

当初シェフをどんどん変えていくというコンセプトでしたが、現在は、

山形県小国町の桜川酒造で日本酒造りを学んだきき酒師の土井貴文氏(右)と

島根県隠岐郡海士町にある島食の寺子屋でお料理を学んだ鈴木 建也料理長(左)の

作り出す日本酒のマリアージュが楽しめるお店として皆さまをお迎えしています。

お二人の前に並んでいるのが、税込1万円でお酒とお料理が楽しめる

スタンダードコースに合わせたお酒たち。これだけ飲めたら満足でしょ♡

 

 

お料理はこの玉手箱のような有田焼きの器に盛り付けられて登場します。

季節のお料理9品と日本酒9種類のペアリング(約1合半ほど)

スタンダードコース 10,000円

季節のお料理6品と日本酒6種類のペアリング(約1合ほど)

ショートコース ¥ 8,000 

それぞれの料理に日本酒のペアリングが付き

消費税・サービス料込価格という充実の内容です。

今回は日本酒とノンアルコールをミックスしていただくことにしました。

 

 

『季苑(KION)』は、薬膳の考え方も取り入れていて

例えば初めのお料理は食欲を促進するもの。途中日本酒で肺が乾くことから

潤いをもたらすもの。そして最後は体の火照りをクールダウンする食材などを

取り入れ翌日も体に残らない。そんなお料理を考えているそうです。

 

 

セミドライ蜜柑のガレット

まずは「満寿泉 貴醸酒オーク樽熟成」と合わせたのは柑橘のガレット。

 

 

 

ガレットの上には、ブルーチーズと焼いたパンチェッタ、そして

セミドライにした蜜柑。フォンネルの花も添えてあります。

くるっと包んでいただくと、ブルーチーズの味わいと爽やかなオレンジが

口の中に広がります。ブルーチーズに合わせた満寿泉はサイダーで割って。

食べる体制が整う、スターターです。

 

 

『季苑(KION)』では、有田焼のお重を使ってお料理を出していきます。

二つの色があり、今回私のもとへ届いたのは、白磁に金魚模様のお重。

一番上の蓋を開けると、薫香が目の前で広がります。いい香り〜。

 

中に入っていたのは、戻り鰹の瞬間燻製。

お酒は、新政 亜麻猫でしたが、こちらはノンアルコールで。

瀬戸内レモンを使ったレモネードは、こちもローズマリーに火をつけて

その香りでグラスに薫香をつけ、レモネードを入れたドリンク。

薫香の香りを合わせ、爽やかなレモンでいただきました。

 

 

 

 

お重2段目は、3つのアミューズが入っていたのですが、ここには

岩の井を違った温度で楽しむという趣向。

岩の井の原材料となる山田錦の上に、おちょこは3種取り揃え、その世界観を楽し

ませてくださいました。おちょこの素材が違うので、飲み口にも変化。

ここでは、苦味、辛味、酸味を楽しむペアリング。

 

 

 

蒲公英とカカオニブのポンデケージョ

熱々のポンデケージョが最後に盛り付けられて2段目のお重が完成。

岩の井のぬる燗を合わせてくれました。

たんぽぽとカカオニブが入り苦味のあるものでしたが

その苦味をスッと取り去ってくれたのが日本酒。

楽しいペアリング体験を感じたひとときでした。

 

馬のタルタル 梨 ハリッサ

2度くらいまで冷やした岩の井を合わせて。

馬肉、梨、そしてスパイスの入ったアリッサには柚子が合わせてあります。

お酒の味わいはもともとキリリとした辛さがありますが、

ハリッサのスパイシーな辛味に日本酒の辛さがうまく融合したペアリングでした。

 

蔵王鴨 山葡萄酢 林檎 黒大蒜

最後は蔵王鴨とりんごの酸味を常温のお酒と合わせて。

フルーティーな味わいでいただきました。

 

 

メニューはカード式になっていて、どんどんめくられていきます。

 

くるみ豆の白和

最後のお重は白和でしたが、一度お豆腐をお店で作り白和にしているとか。

下に柿が敷いてありましたが、これは豆腐を作る時に出る上澄液で乳酸発酵させて

いるとか。今が旬のつるむらさきの花が添えてありました。

日本酒は常温でいただきましたが、より濃厚な風味が広がる感じ。

お酒ってこんなに温度で違うし、器を開けるたびに、美味しいお料理が登場し、

それぞれのペアリングにワクワクが進む時間でした。

 

 

経産牛の包み焼き

宮崎県産の黒毛和牛をバンダンリーフで包み焼きしていて、風味豊か。

経産牛独自の味わいもありましたが、お肉も柔らかく仕上げてありました。

醤油もろみとカカオパルプジュースを使いちょっとトロピカルな味わいも。

生胡椒の旨味のある刺激がアクセント。

 

ここに合わせたのは、どぶろく 生もとです。ぬる燗で出してくれました。

米麹の粒も入っていて、軽い酸味と甘味のあるどぶろくは

日本で初めてどぶろく特許を取られた岩手県遠野りnondoのもの。

経産牛の味わいだけでなくもろみのソースともしっかりマリアージュ。

 

 

華鳩の熟成酒に貴醸酒などの数種類をブレンドしたぬる燗でマリアージュ。

 

 

 

 

SANCHAIの揚げ出し

SANCHAIはピーナツバターなのですが、品種改良されていないピーナツで

作っています。葛を使った豆腐に合わせ、揚げ出しにし鰹出汁で。

ピーナツバターの余韻に合わせて、軽い熟成の旨味が楽しめました。

 

ちなにこちらがサンチャイというピーナッツバター。

ヒマラヤのピーナッツを使い、女性起業家が作られているとか。

 

 

牛すじの粕汁

料理がかなりパンチのあるものだったのですが、日本酒は真澄真朱を。

私はブラックレオパードというアフリカのちょっとプーアールのような燻製茶

を合わせていただきました。縞鯵の出汁に真澄の酒かすで作った粕汁には

先ほどの経産牛の牛すじを使い、仕上げは山椒で。縞鯵の出汁がかなり強く

それに負けない酒粕が使われていたので、粕汁自体がかなり重い。

私にとっては魚の香りが強いものでしたがこれを

お茶がフォローしていい仕事しているよねというペアリングでした。

 

この酒蔵は、伊根に行った時に訪問したことがあり、なんだか懐かしい〜。

 

 

 

 

丁寧に温度管理をしながら燗に。

 

本来は伊根満開 古代酒 熱燗という組み合わせでしたが

私は酵素エキスと山葡萄と牛蒡茶のペアリング。

 

 

酵素玄米ちまき

酵素玄米はそれ自体旨味が強いですが、ここに銀杏、むかご、椎茸、豚の角煮

などを合わせています。ちまきは良く噛みしめていただき、お茶と合わせて。

なるほど発酵したような味わいと深みがよく合います。

それぞれの風味が引き立ちそれぞれのいいところを引き出している感じでした。

しかし、まさか日本酒のお店で酵素玄米がいただけるとは思いませんでした。

 

 

 

お口直しはアールグレーにつけたグレープフルーツの優しい酸味。グレープフルーツはアルコールの分解を促進し、ほてった体をクールダウンしてくれるそです。

 

 

栗マロン南瓜のチーズケーキ

最後はナチュラルな甘味のあるチーズケーキ。栗マロン南瓜の優しい甘味。

 

最後はウバにシナモンを合わせたお茶をいただきました。

 

 

〜最後はこの日のペアリングしたお酒を一挙ご紹介〜

素敵なペアリングを楽しませていただきました♪

レセプションの時には7000円のショートコースを頂いたので、お料理が軽く

酒のつまみの印象が強かったのですが、今回頂いた1万円のスタンダードコースは

食事としてお腹も満たされる感じで、食事としても楽しめました。

消費税もサービスも込みだし、料金に十分に見合った内容だと思います。

というか、なかなかコスパもいいんじゃないかしら。

日本酒好きな方にもオススメしたいし、デートや女子飲みにもぴったり。

お酒も解禁になりましたし、しっぽりと銀座の夜が楽しめるお店のご紹介でした。

 

 

季苑(KION)

東京都中央区銀座8-7-10 FORGED Bld. B2

03-6253-8180

季苑ダイニングバー / 新橋駅内幸町駅銀座駅
夜総合点-