軽井沢の美食といえば必ず名前の登場していた「ル・さんざ・プリュ」。

春日温泉に「Restaurant さんざ」として移転オープンしたのは2016年のこと。

長年欧州で修業したシェフが地のものを使い、自然豊かなこの地で

温かなサービスでもてなしてくれる多くの人々から愛されているレストランです。

 

たまたま軽井沢に行く用事があった日に、別荘族の友人がいたら一緒にランチでも・・・と

連絡したところ「Restaurant さんざ」に行くというので、ちゃっかり便乗させていただきました。

軽井沢から車で約1時間。途中、うわあ~。こんなところまで来ちゃうんですね~。

もう次回はないな~なんて言っていたのですが、お食事が終わる頃には

次回は春日温泉とセットで。なんて話が出るほど、素敵なレストランでした。

 

 

「Restaurant さんざ」は、こんな辺境にある一軒家。

春日温泉までは車で送迎してくださるそうで、

春日温泉に宿泊してこちらにお食事に来られるお客様も多いのだとか。

 

お店の前には田んぼや鶏舎があるのどかな場所風景。

 

玄関で靴を脱いで、お店の奥へ。

スリッパにホッカイロを仕込んでくださる心遣いが素晴らしい。

奥へ進むと高い天井と味のある柱が建物を支え、とても気持ちの良い空間が広がります。

 

こじんまりした店内は、ご夫妻で回せるほどの大きさ。

寡黙なシェフが厨房でお料理を。明るいマダムがホールでサービスをされています。

マダムの楽しいおしゃぺりに、すっかり打ち解けてしまいました。

 

店内は暖炉の熱で温められ、またその炎を見ていると心までじんわりと温められます。

 

窓からは浅間山が見えます。

これたけ開けた風景が広がり気持ちいいのですが、

敷地内にはお店のパンを作るための麦畑などもありました。

そして食事をしていると、かわいい番人たちが中の様子を見に来てくれました。

 

 

そんな空間でお食事がスタートです。

ランチ フルコース3,800(税別) おまかせコース5,500(税別)

ディナー 5,500~10,000(税・サービス料別)

今回はランチのおまかせコースをいただきました。

 

友人は城戸ワインの2016年のピノグリを。

 

こちらは日本ワインを取り扱っていて、国産ワイン好きにはたまらないお店。

 

 

私は減農薬で作った紅玉を使ったジュースを湧き水で炭酸割したジュースにしました。

 

 

焼きイモのポタージュ

まずは寒いからだを温めてとシェフの気持ちが伝わる小さなスープ。

 

ほのかな甘みと、泡の柔らかな口当たり。

温かなスープで、ほっとした瞬間です。

 

 

豆のテリーヌ

このロケーションで食べるとなんだかより価値を感じる素朴なテリーヌ。

5種の豆を使い、食べるところによって食感や風味が違い楽しく豆の優しい甘さを感じます。

ニンジンとホウレンソウの層が見た目にも味わいにもアクセントを加えていました。

最近は宅配も始められたそうで、このテリーヌやパンなどが

自宅にいながら食べられるようですよ。

 

 

 

全粒粉のカンパーニュ、ゆめちからとクルミのパン、ニンニクとクルミのプチパン

カイザーツェンメルと自家製パンは4種類が並びます。

ゆめちからとクルミのパンが特にもちもちして美味しくて。

 

 

お食事をしていたら2羽の番人が本日のお客さんをチェックしに来ました。

きっと、鶏舎に入って、「今日は久々あの常連さんが来てたよ」とか「幸せそうな

ファミリーだったよ」などと報告しているに違いありません。

 

数羽の鶏がいて放し飼い。全ての鶏に名前がついていて、餌はシェフが野菜などを

細かく刻み手塩にかけてかわいがっているんだとか。

この庭の番人たちが生んだ卵で最後に極上のプリンが作られるというわけ。

地産地消なんて目じゃない!まさに自給自足的、そして安心安全な食材を使った

この地でしか体験することのできない自然をいただくことのできるレストランです。

 

 

スペッツェルとイノシシのラグー

常連の友人の話によればシェフはスイス公邸でも料理人をされていたとか

言っていたかな・・・。ドイツ料理やスイスの料理なども登場し

フランス料理を超えた『さんざ』ならではの料理を味わえます。

パスタはドイツのパスタスペッツェル。ちょっと不ぞろいで揚げたような仕上りで、

ムチムチした感じで美味しかったです。ラグーは丸子のイノシシ。

お肉の味とそれに負けないパスタがたのしめるお料理でした。

 

 

千曲川の寒ばやと根菜のサラダ

フランスのアンテークマーケットで購入したかのような、可愛らしく品のあるお皿で

お料理が登場するのもとても好感度が高いです。使っているお皿からも

それと組み合わせた料理からも、本当にシェフのセンスを感じます。

 

ハヤは稚魚と成魚の2種を食べることができましたが

なんか美味しいじゃないですか!!キレイな清流で育ったハヤはしっかり美味しい。

いいものを食べさせていただきました。

 

 

おしのぎ

オードブルの次に、小さなお寿司がでてきてビックリでした。

しかも「おしのぎ」ってマダムが説明するんです。

これは海外の料理に和のエッセンスを加えたこちらならではの発想ですね。

 

めったに食べられない幻のお米「五郎兵衛米」を使いお寿司を作っています。

軽い酢飯になっていて、寒いらっょ、小鮒、雪下人参を使った小さなお寿司。

雪下人参が甘くてね~。小鮒もぎゅっと味が凝縮されたような旨味がありました。

 

 

信州サーモンと尾長鯛のポワレ

お魚はなんと豪華にも2種登場しました。これはかなり豪華でしょ~。

青のりのソースは風味がよく膨らむ美味しさ。

 

信州サーモンはまずその色合いがきれいですよね。

肉質もしなやかで皮まで美味しく調理されていました。

 

尾長鯛は、信州サーモンとはちょっと違いふっくらした感じ。

表面は香ばしく焼けているのでその香りも楽しめました。

 

 

鹿肉のフリカッセ

ちょっと家庭料理のようなベーシックなお料理が、一流のシェフの手によって

素晴らしいお料理として登場し、しかもこれが寒い田舎町で食べられることが

とても心が豊かになるような気分になるのはなぜでしょうか。

 

鹿は鹿の味もしっかり味わえ、また臭みもなく、

クリームソースに容赦なく肉とキノコのエキスが染み出します。

なんかこういう平凡だけど、しっかり美味しく作ってある料理を食べていると

心がなんだかとても穏やかな気分で満たされるのはなんなんでしようかね。

 

 

最後は庭の番人・・・いやシェフのかわいい子供たちといったほうがいいでしょうかね。

庭で放し飼いで育てられた鶏が生んだ卵で作った優しい味のプリンでした。

 

 

アップルシュトゥルーデル

なんか信州に来た感じ。そしてスイスやドイツの代表的なデザートで締めくくれてかなり幸せ。

私はタルトタタンやシュトゥルーデルのような素朴で林檎の味がしっかり楽しめる

お料理が大好きなんですが、これが出てきた時には「きたーーーーー」っという感じ。

パリパリつとした薄い皮としっかりした煮林檎の味を感じられる美味しさでした。

 

 

帰りに別の場所から見た浅間山。

群馬県県民の私にとっては、浅間山と言ったら「あさまのいたずら おにのおしだし」.。

浅間山噴火の際に流れ出た溶岩から形成されたその景勝はやはり美しかったです。

 

 

上原シェフのお料理は、技術的に優れていて美味しいのは当たり前で

その心のこもった、美味しいものをしっかり食べて欲しいという

食べてる側にも気持ちが伝わってくるものばかり。

 

マダムが作り出す華やかで優しい雰囲気もとてもいいのです。

常連の友人がワインの表記、こんな風にしたらいいんじゃない?と言ったところ

その場でメニューを修正するという迅速さと心配り。

 

辺境な場所にありまが、次回は「ただいま」と帰りたくなるような

魅力溢れる温かなレストランでした。

 

 

 

Restaurant さんざ

https://www.facebook.com/restaurantsanza/

長野県佐久市春日2291-3

0267-52-2080

木曜、金曜昼定休

 

レストランさんざフレンチ / 佐久市その他)