東京から電車で約2時間。

2018年もあと少しで終わろうとしていますが、

今年1年で伺った新規店の中でもかなり印象的な

フランス料理のレストランに山梨で出会いました。

 

 

場所は、山梨県北杜市。

小淵沢や清里なども近く別荘地なども近いエリア。

清里ラインという国道141号線沿いに建つ築170年の古民家がそこです。

この日は大雨で外観が撮れなかったので、ホームページから拝借しました。

オーベルジュとしても営業を検討しているとのことなので

次回はゆっくり外観だけでなく周辺も散策したいと思っています。

 

 

私がこのレストランを知るきっかけになったのがこちらの本。

JTBパブリッシング発行のムック本

『るるぶキッチンmagazine』

 

第一特集「産地(テロワールを味わう)」で

こちらで紹介されていた記事を拝見してから。

巻頭ページは、地産地消レストランでも有名なアルケッチャーノです。

 

 

『テロワール愛と胃袋』は、ご主人ご夫妻のセンスで

素敵にリノベーションされた築170年の古民家。

梁はそのままに。シャンデリアなどがつけられています。

天井高9メートルという広々とした空間は

シャンデリアが小さく見えます。

ゆくゆくは、オーベルジュもやりたいというご夫妻。

泊りがけで伺ったなら、ゆったりとした時間を感じられそうで

今から楽しみですね。

 

 

奥にある緑あふれるダイニングでいただきました。

なんだか友人宅に訪れたようでとてもゆったり。

 

 

毎日変化する緑を眺めたり、薪ストーブの火に癒されたり。

もともと三軒茶屋でレストランを営んでいたご夫妻にとっても

生活の必需品でありながら、手をかけ使われている道具に囲まれ

温かなな空間を作り上げています。

 

 

もともと、ナチュラルで体に優しいお料理を提供していたお店でしたが

山梨に移住し、そのコンセプトはより明快になったのでは?と容易に想像ができる設え。

 

この日は雨が降っていましたが

雨で緑が軽くジャンプしたり、

濡れる緑の景色に癒されながらのお食事となりました。

 

カトラリーはクチポール。カトラリーレストとの相性もいい感じです。

このあたりは別荘なども多く点在すエリアだけあり

お箸なんかもあって、ご家族で別荘で過ごされた時の利用も良さそうです。

お隣の席では、ちびっこ用のお食事もご用意されて、

品のいいファミリーの和やかなひと時にこころもほぐれました。

 

おしぼりも素敵なお皿に乗って出てきました。

お席には予約の札が置かれてありましたが

手書きの優しいメッセージも嬉しいですね。

 

スパークリング新月というノンアルドリンクからスタートしました。

 

メニューを頂いたのですが、

紛失してしまいメニュー名は私が勝手につけましたのであしからず。

 Lunch Standard ¥6,260(5,800+税460)をいただきました。

 

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最中にはフォアグラ、無花果、バルサミコが仕込んであります。

フェンネルの花などが添えてあり、可憐な感じ。

 

鉄板の組み合わせですから美味しくないはずはないのですが

バルサミコのきかせかたなどのバランスも良くてGOODでした。

なにより大きな窓から入る光とこのガラスの器、

そして可憐な料理はこの空間でのファーストディッシュとして

はっとした美しさを印象付けてくれました。

 

 

地元の農家と作った地粉でバタールとカンパーニュを焼いているんだとか。

パンも味わのあるものを出してくださいました。

 

 

オクラの花でできたサラダ

オクラの花をお料理に出してくれるところも時々ありますが

ここまでふんだんに使ってくれたのはこちらが初めて。

 

ビーツでできた赤いソースが添えられ、

山の中なのにハイビスカスの花が咲き乱れているよう。

細かくけずられたミモレットがより造形を深くしています。

 

中にはなんと、セミドライの牛肉のカルパッチョが隠れていました。

しかもこのお肉が凄いんです!

「ジビーフ」という昼夜を通して林間放牧され自然交配による飼育する

完全放牧野生牛を使っています。

餌ももちろん自然に生えている野草や牧草のみ。

2018年に肉用牛として日本では極めて少ない「有機JAS畜産」の認定を受けています。

とても柔らかく、軽い牛肉はサラダとの相性もぴったり。

ピクルスなども入っているのでより軽やかにいただけました。

 

 

カボチャのポタージュ

カボチャだけで作ったというポタージュは甘さ控えめ。

その分3種のかぼちゃをブレンドしているので色々な味が舌を刺激します。

 

すくなかぼちゃ、バターナッツ、一般的な黒皮栗南瓜が使われていて

シェフは、一種のカボチャだと味が単調になるので・・・とおっしゃっていましたが、

スープをいただくと、味覚と脳が色々なカボチャの味に素早く反射し

時には青い味がしたり、強い甘味があったり、自然のカボチャの香りがしたりと

単に甘く濃厚なカボチャスープというわけではなく

さまざまな味が融合し、食べていてかなり面白いスープでした。

シナモンや玉ねぎの味かな・・・。味の膨らみもある

まるでカボチャをそのままたべているようなスープでした。

 

 

秋刀魚のリゾット

蓋付きの器で登場したリゾットは、燻製した秋刀魚の香りが

全体にまわっていい香り。

秋刀魚の下には、天然のきのこと一緒に炊かれた

リゾットが入っているのですが、

まあそのリゾットが絶品で。

 

食べていてお米に旨味があるので、

お米が甘いのか旨味がしっかり入っているのか判別が出来なかったので

お米は何を使っていますか?と聞いたところ

お酒で有名な亀の尾を作るお米と同じお米を使っているのだとか。

さらっとしていて小粒のリゾットに向いているだろうお米なのですが

ささにしきに近い味なので甘味はあまりなくさらっとしたお米なのだとか。

それをここまで美味しくするのはシェフの腕の勝利です。

 

 

肝のソースで濃厚な味わいを。

そしてかぼすの爽やかさが軽やかさを出した素敵な一皿。

 

 

鱒のミキュイ

目の前で立派な鱒にたっぷりのトマトのソースをかけてくれました。

このトマトソース。こんなにたっぷりですが、

まあこのソースも美味しいこと。

サンマルツァーノを使っていますが、優しく角のとれたふくよかな味で

このソースだけ食べても十分なほどの美味しさです。

 

鱒はうまく燻製されしっとりした火入れ。

クミンかな。軽くスパイスの効いたトマトのソースと

鱒の薫香のついた旨味のバランスがとてもよい。

鱒とトマト…とはじめ思ったのですが、

これもかなり面白いお料理でとてもお気に入り。

お料理のことを忘れていたとしても、

次回食べたら舌が覚えていると確信できるお料理でした。

 

 

宮崎県の南高梅を使ったシャーベット

お口直しはシャーベットで。

上から撮った写真もあるのですが

実はお皿がハート型。

ここだけちょっとチャーミングなお皿の登場でした。

 

 

韮崎の放牧豚のグリル

瓦のお皿に盛り込まれたメインが登場しました。

龍泉刃物のナイフを添えてくださったのでお肉もストレスなくカット。

 

柔らかく火入れをされたしっとりし甘味のある豚肉。

セルリヤックのピュレ、そしてブルーベリーのピュレのアクセントでいただきました。

料理の盛り付けもそうですが、

素材の組み合わせもこの古民家で食べていることを

印象づけるようでとても素敵。

どれもこれもいいお料理をいただきました。

 

葡萄のデザート

デザートは2種のぶどうを使ったデザートが出てきました。

ぶどう色の器に、ピオーネとロザリオビアンコ。

ロザリオビアンコもご立派というものを使っていて

その上にラム酒の効いたアイスが楽しい。

 

ピオーネもみっしり入っていてもう嬉しくなっちゃいました。

 

このカトラリーもかわいいでしょ。

手作り感とひねた感じが器にもぴったりマッチ。

細部にもしっかり気配りのあるテーブル演出でした。

 

 

完全に逆光で失敗しましたが、

可愛らしいミニャルディーズが登場しました。

 

赤いさくらんぼにチョコレートをコーティングしています。

 

チョコレートのテリーヌも。

実は食後にチョコレートってあまり得意ではないのですが

これくらいの甘さだといただけます。

 

最後は番茶か何か出してもらったんだったっけ?

タクシーのお迎えの時間になっていたので

ちょっとバタバタしちゃいました。

 

実はこのあたりのレストランは、

コルクタクシーというのと提携していて

甲斐大泉駅や長坂駅とレストランを結んでいる貴重な足。

片道1200円で利用できます。

『テロワール愛と胃袋』へもタクシーを使わないといけなかったものですから

予約の時に足回りのことを聞いたところご紹介いただいたのですが

本来ならば恐らく4~5倍の料金がかかる立地。

地方の旅でこまるのはいつも足回り。

MaaSこういう発想も本格化していますが、

地方の交通手段が発達するとありがたいものですね。

 

 

『テロワール愛と胃袋』は、鈴木信作シェフと

素敵なマダムとで経営をされている愛に溢れるお店。

目の前で繰り広げられる鈴木シェフのお料理は、

滋味深さ、大胆さ、そして美しさがそなえられた素晴らしいのでした。

そう、店名通り、お二人の優しさを感じ、胃袋も満たされた時間でした。

 

古民家も少し拝見したかったのですが、のんぴり食事をしているものですから

最後はバタバタとお会計をしてタクシーに乗り込むという。。。

オーベルジュがオープンしたら、またお伺いしたいと思います。

 

 

テロワール愛と胃袋

山梨県北杜市高根町長澤414

0551-30-9199

月・火曜日定休

食べログ食べログ得点はこちらをチェック

テロワール 愛と胃袋フレンチ / 甲斐大泉駅
昼総合点-