今日はちょっと前に読んだ『独裁者の教養』のレビューを書きたいと思いまする。
だいたい読んで数日経ってもブックレビュー書かない本に関しては私、そんなに印象に残ってないのですが、この本は何日経っても書こうと決意しておりました。
なぜなら、この本はそんじょそこらの薄い新書とは一線を画していたからです。
独裁者の教養 (星海社新書)/安田 峰俊

¥903
この本は、
「独裁者の若い頃の人生にスポットを当て」、
「彼らはどんな場所で生まれ、家族や友人とどんな関係にあり、どんな教養を身につけたのか」~P12、はじめに~
ということに焦点を当てて独裁者というものに迫っていきます。
この本で解剖された独裁者は8人!
毛沢東
ポル・ポト
リー・クアンユー
スターリン
ニヤゾフ
フセイン
カダフィ
ヒトラー
です!
いやぁ、濃いです笑
彼らの若かりし頃や権力を掌握していく過程の話が書かれているわけなんですが、
独裁者はやっぱりどこか違うわ
能力も思考もぶっ飛んでるわ
これが私の感想です。
民衆の賛同を受けて権力を掌握した独裁者は、おそらく人並みはずれた能力・他と全く違うぶっ飛んだ発想に惹かれたんだろうなと感じました。
そして、この本が他の歴史解説新書とは大きく違うところが、筆者自身が独裁者が治めるエリアに密航して来たからです。
彼の渡った先は「ワ州」
彼は、「『独裁」』を自分自身で体験してみる。すなわち独裁者の下で生きる一般市民の生活を、同じような目線で観察する」~P13、はじめに~ことを目的に、中国雲南省とミャンマーの国境地帯にあるミニ独裁政権「ワ州特区」に密航する。
いやね、この密航記が面白いんだ!!!!!!
普段普通の生活していたら全く知る由もないワ州。
そこにいかにして入国していくのか。
もちろん全てが手探りな状態。
詳細は本編に譲るんですが、一つ思ったのは、筆者の語学力と現地取材の運は相当なモノではないかってことですね。
ここまでが大体の概要ですね。
そして最終章に「日本人」とある。
日本に独裁者なんているのかと最初首をかしげてしまったのですが、その意味をすぐに理解いたしました。
本文を引用いたします。
「たとえ権力者による強権的な統制なんてなくても、日本人は各自で『空気を読んで』勝手に統制状態を作り出し、現実社会をそのルールに当てはめて解釈する、ということだ。」~P312~
「日本人は独裁者に支配される民衆と同じような考え方を—、つまり『社会の空気』という概念に現実を無理矢理当てはめる思考法を、各自が自発的に選び取って社会を統制する。」~P313~
と、日本においては社会の空気が独裁状態を作り出してしまっていると言います。
これに対して、独裁から解放されるためにはどうしたらよいか。筆者は言います。
「周囲に流されずに自分が信じたことをやり、世間のヘンなことをヘンだと指摘する自由の権利を、恐れずに行使すればいい。どんな形であれ教養を積んで、『社会の空気』に左右されずに自分の頭で考える習慣をつければいい。」~P325、326~
そして、最後に
「日本人という名の、独裁者どもを打倒せよ!」~P326~
と締めくくります。
これに関しては全く以て同意します。この件に関してはまた別途記事書きます。
いかがでしょうか?
ちょっと強烈な個性に触れてみたいな・なんか面白い歴史の本ないの?
そんな方は是非『独裁者の教養』を一読ください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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