わしら関東に住む温泉スタンド愛好家の間にて、その存在は有名ではあったが、なかなか汲みに行ける機会がなかったのが、福島県浜通りにある「新地町温泉スタンド」。わしの住む土浦から水戸まではおおよそ45㌔あり、水戸からいわきまでは約100㌔かかる。そして、いわき市より原発事故の帰還困難区域を越えて100㌔北上した相馬の北隣にあるのが新地町。宮城県はすぐそこにありそうです。まあ、東北6県はそれぞれ大きいから、今までの人生の約半分を1都2府で過ごしたせせこましいわしの感覚では計り知れぬ雄大な距離感があるのかもしれませんね。
 常磐線の線路に沿って温泉スタンドは存在します。霞ケ浦や群馬県太田市にある百石温泉スタンドと同様の機械が1基備え付けられております。とはいえ、首都圏につながる常磐線もこのあたりでは単線なのでしょうか?超ローカル線のように感じるのですが。昭和の御代ではL特急も頻繁に走っていたはずですよね。
 
 「源泉そのままの利用」って?ひょっとして塩素消毒などしていない?いやいや、役所管理ですからそれはないでしょう、レジオネラ菌対策などうたがわれますがな。と素人は考えるのですが、果たして、今夜のわが家新地町駅前温泉は大変まろやかでカルキ臭さなど微塵も感じませんでした。ええの?ほんまにと心行くまで温泉らしさを満喫できた一晩がこれから続きます。
 看板では10円で200リットルと名門いわき湯本や群馬県渋川の10分の一という値段設定に加え、今年春の地震にて断水した世帯を援助する意味も含めて当面無料とは、泣かせます。それだけ湯量が豊富なのでしょうか?成分濃さそうな地の恵みを今日は8缶いただくことができました。往復500キロの道のりも、休日割適用とは言え、安くない高速代金も、高過ぎ感しまくりのガソリン代もすべてはこの源泉のために捧げます。それだけに至福のわが家風呂タイムを過ごさせていただきます。
 周りは何にもない荒れ地。東日本大震災の津波で奪われてしまったのでしょうか?その後に日本を本格的に覆った少子高齢化の現実が復興を遅らせているのでしょうか?取り残された空き地が目立ちます。
 
 帰りは6号線をしばらく南下しました。道の駅「なみえ」にて1500円で売られていた福袋を購入したところ、果たして中身はこれでした。実際にはどれほどの価値があるのかわかりませんが、少しでも復興支援になればとは思います。
 浪江町の中心部もいまだに塀だけ残った住居跡や、見捨てられたかのような無人の空き家も目立っておりました。
さらに南下すると帰宅困難地域になりますが、時間が止まってしまって植物だけが成長しているような光景も見られました。昼間はともかく、日没後は真っ暗なのでしょう。街灯をのぞけは人の営みは感じられない気がします。
 焼うどんにも間違えられそうななみえ焼そば。もっちり感はさすがです。美味しくいただけました。
隣の県なのに往復500㌔。でも、満足しております。がんばれ、東北、好きです、福島。