『東京騎士団』(1985年)

主人公・鷹野と相棒の路が超十字軍の本部を攻めた際、路が使用。

作品では「ステアー」としか書かれていませんが、もう一丁の武器がベレッタM93Rであることから、アサルトライフルである「AUG」ではないかと思われます。


(ステアーAUG A1 写真は全てウィキペディアより)

オーストリア、シュタイヤー・マンリヒャー社製。5.56×45mm NATO弾を使用し、装弾数は30/42発。
AUGは“”アルメー・ウニヴァザール・ゲヴェーア(軍用汎用小銃)”の略で、1977年にオーストリア軍に“STG77”の名称で採用されました。

同じアサルトライフルでも、アメリカ軍のM16やソビエト軍のAK47と異なる“ブルパップ方式”(銃の機関部や弾倉が銃爪より後ろにあるメカニズム)を採用。
銃本体内にバレルがあるイメージで、銃身を短くしてコンパクト&軽量化しても命中精度は落ちず、発射時の反動を抑える効果もあります(ただし弾丸の初速や射程は落ちるようです)

ブルバップ方式ではフロントとリアで照準を合わせることが難しいため、本体上部にキャリングハンドルを兼ねたオプティカルスコープを標準装備。

(黒いポイントがあるだけのシンプルなサイト)

また、機関部が後ろにあるために構え方により排莢弾が顔に当たる危険性があります。
ボルトの交換によって排莢方向を変えることは可能ですが、瞬時に切り替えができないことは欠点といえます。


SFチックな外観を持つAUGは、見た目に負けずにさまざまな新しいメカニズム導入が試みられました。

グリップとストックが一体化されたボディには強化プラスチックを採用。ボディだけでなく機関部の多数の部品にもプラスチックを採用していて、マガジンは残弾数を確認できるスケルトンタイプになっています。

(AUGのマガジン)

作動方式は“ショートストロークピストン方式”を採用。 

当時5.56×45mm NATO弾を使用する小銃は、弾丸発射時の燃焼ガス圧でピストンとボルトキャリアを動かし、ボルトを後退させて排莢を行う“ロングストロークピストン方式”が一般的でしたが、“ショートストロークピストン方式”は、独立したピストンのみが動いてボルトキャリアとボルトを後退させて排莢を行います。
これも発射時の反動を軽減する効果があり、21世紀のアサルトライフルではこちらが主流となっています。


銃爪はプログレッシブトリガーを採用。
これは浅く引くとセミオート、深く引くとフルオートとなるしくみで、フルオートで撃つと初弾は単発で発射され、次弾から連射となります。
これはさまざまな状況でセミ/フルを使い分ける兵士たちからは不評であり、銃爪上部の突起でセミ/フルを切り替える“オートマチック・ロックアウト”機能を持つモデルも製造されました。

そして最大の特徴は、銃本体をバレル・マガジン・機関部など7つのパーツに分解、交換ができること。
バレルや機関部、マガジンを拳銃弾用に交換することでサブマシンガンになり、スコープを交換することで長距離の狙撃も可能になるなど、現在では多くの銃器に用いられている“システムウェポン”運用の先駆けとなりました。


ちなみにこのAUGは、映画『ダイ・ハード』(1989年)のテロリスト一味であるカールが使用していて、私はこの作品でAUGを知りました。


本編では「バン!ババババ!」という感じのフルオート射撃も確認できますよ。