『雪蛍』(1996年)、『心では重すぎる』(2000年)の主人公・佐久間公の職場であり住居である、薬物依存者の相互更生補助施設「セイル・オフ」のある場所。

公は薬物依存ではありませんが、ここでアドバイザーとして生活しています。


(西側から見た日本平。写真は全てウィキペディアより)


日本平は、静岡県静岡市駿河区と清水区の境に位置する、標高307mの有度山(うどやま)の山頂とその一帯を指します。


『日本書紀』において、日本武尊が東国征討の際に野火に難に遭い、この山から四方を眺めたことが、「日本平」という呼び名の由来といわれています。


有度山の山腹には、静岡らしい茶畑やみかん畑が広がっていて、眼下に清水港、駿河湾越しに富士山や伊豆半島を眺め、北側に南アルプスを望むことができ、清水港の眺めは夜景スポットとして人気があります。


(日本平から見た清水港)


1959(昭和34)年には、国が名勝(芸術または鑑賞的に価値の高い文化財と認定した土地)に指定されたり、1980(昭和55)年には「日本観光地百選」の第1位を選ばれたり、2016(平成28)年には「日本夜景遺産」に認定されています。


山頂部には「山頂吟望(ぎんぼう)台」、「日本平夢テラス」「東展望台」があり、富士山や清水港の景観を楽しむことができます。

※吟望とは、空と緑の交わりを楽しむこと


(日本平夢テラス)

また、日本平の山頂から南の久能山にある久能山東照宮までは日本平ロープウェイが結ばれ、山頂付近にはホテルやゴルフ場、中腹部には日本平動物園、静岡県舞台芸術公園、静岡市清水日本平運動公園球技場(IMIスタジアム日本平)があり、観光地としてだけでなく、静岡県民の憩いの場ともなっています。


(日本平動物園)

(サッカーJリーグ、清水エスパルスの本拠地である、IMAスタジアム日本平)


「セイル・オフ」は公の親友である沢辺が理事長を務める財団が、老朽化した三階建てのホテルを買い取って改装したもので、2020年に冒頭部が掲載されたのみの最新作『無辺の夜に生きる』にも登場することから、公はずっとこの地で生活を送っていたと思われます。

最新作で引退という言葉を口にする、公。終の地は日本平となるのでしょうか。