1993年10月に公開された映画『眠らない街  新宿鮫』と同時期に発売された、作品のシナリオ本。



シナリオとは日本語でいえば脚本(台本)のことで、映画やドラマの場面設定、人や物の動き(ト書き)、登場人物の台詞を書いたもので、細かい描写や人物の心情が書かれていないところが小説とは異なります。


現在、ほとんどのシナリオライターの方はパソコンやタブレットで書かれているかと思いますが、当時は縦書きの200字詰め原稿用紙に書くのが基本でした。


私の記憶が確かなら…(あまりあてになりません)シナリオ本が一般的に認知されたのは、テレビドラマ『北の国から』(1981年〜1982年)のテレビシリーズがヒットした際、倉本聰さんの書かれたシナリオが発売されベストセラーになった頃からかと思います。


前置きはこれぐらいにして…

『眠らない街  新宿鮫』の脚本は荒井晴彦さん。代表作に『赫い髪の女』『遠雷』『Wの悲劇』などがあります。


シナリオ(映画)は大沢さんのオリジナルに概ね忠実で、いちいちここが違うとか指摘する気はないのですが…


鮫島と晶の出会いは、フーズハニイのメンバーがトルエンの密売を行い、鮫島がライブ中に乱入して逮捕するところから始まります。


いくらアマチュアとはいえメンバーが逮捕されてるのに、晶が「次のライブは来月」なんて言ってることが、変かなと思います。


また、藤野組の真壁が変造銃で中国人を襲撃するシーンは、鮫島の目の前で起きたことに変更されています。


その他、原作と映画の違いは「大沢作品の映画・ドラマ化 3」を見ていただくとして、こういった変更は物語を簡略化したり盛り上げるために必要なのかなと思います。


スピーディな展開と新宿の熱気が伝わってくる、いいホンだと思います(偉そうに)


残念ながら興行的にはイマイチだった映画。シリーズ化を考えていた雰囲気もあるのに、残念でなりません。



そして巻末にはおまけが…

他の雑誌からの転載ですが、船戸与一さんとの対談、逢坂剛さんとの対談、“鮫番”と呼ばれた編集者の日記があり、非常に興味深い内容になっています。