【徹底解説】公取委が容量市場の規制緩和を提言、再エネ事業者に新たな道が開かれるか
こんにちは!エネルギー業界の最新動向について詳しく共有します。
■公取委による電力市場実態調査の全容
公正取引委員会は4月24日、2022年から進めてきた電力業界の発電・小売り市場の実態調査結果を発表しました。この調査は電力市場における公正な競争環境を整備することを目的としています。
新電力の参入容易に、容量市場の規制緩和を 公取委 - 日本経済新聞公正取引委員会は24日、電力業界の発電・小売り市場の実態調査結果を発表した。電力の供給量を入札で決める「容量市場」の規制緩
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA24B6W0U5A420C2000000/
■容量市場とは?その役割と現状の仕組み
容量市場は2024年から取引が開始された比較的新しい電力取引の仕組みです。この市場は「将来の電力供給力を確実に確保する」ことを目的としています。
具体的な仕組みは以下の通り
1.数年後の電力需要を予測
2.その需要に基づき必要な供給力を算出
3.発電事業者が入札に参加(応札)
4.落札した発電事業者には「供給力確保」の対価として容量収入が支払われる
つまり、実際に発電しなくても「必要なときに発電できる状態を保つ」ことに対して対価が支払われる市場です。
■現状の問題点!再エネ蓄電池の参入障壁
現行制度では蓄電池からの電力供給については、火力発電など「出力調整可能な電源」で発電した電力を貯めたもののみが容量市場に参加できます。
一方、太陽光発電など再生可能エネルギーで発電し蓄電池に貯めた電力は、「天候依存で供給力の将来予測が難しい」という理由で容量市場への参入が認められていません。
これは再エネ事業者にとって大きな不利益です。
なぜなら
・蓄電池は再エネの不安定さを補う重要な手段
・容量市場からの収入が得られないと投資回収が難しくなる
・結果として再エネの普及拡大に歯止めがかかる
■公取委の提言内容
公取委は今回の調査で、以下のような提言を行いました。
1.容量市場について
「再生可能エネルギーの発電量変動への懸念は理解するが、将来的に技術が改善すれば参入規制を撤廃すべき」
つまり、再エネ由来の電力を蓄電池に貯めたものも、予測技術の向上などを条件に容量市場への参入を認めるべきだとしています。
2.需給調整市場について
「通信速度やセキュリティーに問題がなければ、一般通信会社が敷設した回線も認めるなど、柔軟な運用が望ましい」
現状では大手送配電会社の回線しか接続を認めないケースもあり、これが新規参入の障壁になっています。
■想定される影響と市場への波及効果
【再エネ事業者・新電力への影響】
1.収益構造の多角化
再エネ由来の蓄電池も容量市場に参入できれば、発電収入に加えて容量収入も得られるようになります。これは特に太陽光発電など変動電源を主力とする事業者の収益安定化に寄与します。
2.投資判断の変化
蓄電池への投資がより経済合理性を持つようになり、「発電設備+蓄電池」というビジネスモデルが加速する可能性があります。
3.競争環境の公平化
従来型電源(火力など)と再生可能エネルギーが同じ土俵で競争できるようになり、イノベーションが促進されます。
【電力市場全体への影響】
1.電源構成の多様化
再エネの普及がさらに加速し、日本のエネルギーミックスの多様化が進む可能性があります。
2.電力価格への影響
競争の活性化により中長期的には電気料金の低下が期待できます。ただし、初期投資が必要な再エネ+蓄電池モデルの普及には時間がかかるため、即効性はないでしょう。
3.系統安定化と脱炭素の両立
再エネ由来の蓄電池が系統安定化に貢献できるようになれば、脱炭素と電力の安定供給を両立させる道が開けます。
■業界の反応
この公取委の提言に対して、業界からは様々な声が上がっています。
・再エネ事業者からは歓迎の声が多く、特に蓄電池事業を展開している企業にとって朗報となっています。
・大手電力会社からは「供給力の信頼性確保」に懸念を示す声もあります。
・蓄電池メーカーからは需要拡大への期待感が表明されています。
■公取委による一連の電力市場調査
今回の提言は公取委による電力市場改革の取り組みの一部です。過去の動きも見ておきましょう。
・2022年:電力市場の実態調査を開始
・2023年:中国電力、中部電力、九州電力の3社に総額1000億円を超える課徴金の納付を命令(カルテル疑惑)
・2024年1月:電力卸分野の調査結果を報告
・2025年4月:容量市場と需給調整市場に関する今回の提言
公取委の一連の動きは、2016年からスタートした電力自由化を実効性あるものにするための重要な取り組みと言えるでしょう。
■今後の展望と課題
公取委の提言が実際の制度変更につながるには、資源エネルギー庁など関連省庁の対応が必要です。実務的には以下のような課題が考えられます。
1.技術的課題
再エネ由来の蓄電電力の供給力をどのように評価するか、予測技術の向上など技術的なハードルがあります。
2.制度設計の課題
容量市場のルール変更には、既存事業者との調整や経過措置など複雑な問題があります。
3.実装のタイムライン
すぐに制度変更が行われる可能性は低く、段階的な導入になると予想されます。
■まとめ
公取委の今回の提言は、再生可能エネルギーの普及拡大と電力市場の競争活性化に向けた重要な一歩です。技術進歩と制度設計が噛み合えば、エネルギー転換を加速させる可能性を秘めています。
皆さんはこの規制緩和提言についてどう思いますか?再エネ事業者の方、新電力関係者の方、投資家の方など、様々な立場からのご意見をお待ちしています。
【ご意見募集】
・再エネ由来の蓄電池が容量市場に参入できるようになるまで、どのくらいの時間がかかると思いますか?
・この提言が実現した場合、どのような事業機会が生まれると思いますか?
・再エネ+蓄電池のビジネスモデルは本当に採算が取れるようになるでしょうか?
・電力システム改革をさらに進めるために、他にどのような規制緩和が必要だと思いますか?
・投資判断の観点から、この動向をどう評価しますか?
【徹底解説】公取委が容量市場の規制緩和を提言、再エネ事業者に新たな道が開かれるか|脱炭素を目指す爺さんですpvlabo2020 @solarpower2035 https://note.com/pvlabo_2020/n/n19c3ac15c074?sub_rt=share_pb
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