各地で進む「脱炭素先行地域」の取り組み。持続可能な未来への一歩!
近年、地球温暖化対策が急務となる中で、日本でも各地でさまざまな「脱炭素」への取り組みが進んでいます。その一環として、環境省が進める「脱炭素先行地域」のプロジェクトは、2030年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、他地域のモデルとなる先進的な取り組みを支援するものです。2024年11月7日に発表された第5回の選定結果では、全国から選ばれた9件の新たなプロジェクトが発表されました。今回は、その選定された自治体の取り組みを中心に、どのように日本が脱炭素社会を目指しているのかを詳しく見ていきます。
1、脱炭素先行地域とは?
「脱炭素先行地域」は、2030年度までに家庭や事業所などの民生部門の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロにし、さらに運輸や熱利用といった他の温室効果ガス排出についても大幅な削減を目指す地域です。各地域の特性を活かした取り組みを進め、全国のモデルとして脱炭素化をリードしていく役割を担っています。
第5回では、全国から66自治体の46件の計画提案が集まり、そのうち9件が選定されました。今回選定された地域は、それぞれが地域資源を活用したユニークなプロジェクトを提案しており、持続可能なエネルギー社会の構築に向けた具体的な方策が盛り込まれています。
選定された自治体は、北海道厚沢部町、岩手県陸前高田市、岩手県釜石市(岩手県との共同提案)、三重県度会町(多気町、明和町、大台町、紀北町、大紀町との共同提案)、神戸市、広島県東広島市(広島県との共同提案)、山口県下関市、福岡市、長崎県五島市。
2、第5回選定地域の紹介
1. 陸前高田市(岩手県)
陸前高田市は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、今回のプロジェクトでは、津波被災地の土地を有効活用して「営農強化型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」を導入します。8.33MWの発電容量を持つこのシステムでは、農地としての再利用が難しい場所で果樹栽培を行いながら太陽光発電を進めるという、農業と再生可能エネルギーの融合が図られています。また、森林や水資源を活用した小水力発電(197kW)も導入し、災害時には大型蓄電池を利用したマイクログリッドを構築する計画です。
2. 釜石市(岩手県)
釜石市は、地域共生型の太陽光発電を推進します。大手企業と地元企業が共同で設立する特別目的会社(SPC)を活用し、片岸公園に隣接する土地に3.144MWの太陽光発電設備を設置する計画です。また、戸建て住宅や事業所向けに太陽光発電と蓄電池の導入を進め、地域全体で再生可能エネルギーの利用を促進します。
3. 東広島市(広島県)
東広島市では、広島大学にオンサイトPPAモデルを用いた6.6MWの太陽光発電設備を導入します。このPPAモデルでは、発電設備が大学内に設置され、そこで生み出された電力が直接使用されます。また、省エネ機器の導入やZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)を目指す施設の整備も行われ、既存の集合住宅にもエネルギーマネジメントシステムを導入することで、一括受電サービスが提供される予定です。
4. 福岡市
福岡市のプロジェクトでは、特にペロブスカイト太陽電池の導入が注目されています。ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性があり、建物の垂直面や特殊な形状にも設置可能です。福岡市役所本庁舎や福岡ドームの屋根などに設置され、合計3MWの発電を見込んでいます。また、埋め立て処分場の跡地を活用したオフサイト型太陽光発電(1MW)や、マンション向けのZEH-M(ゼロ・エネルギー・マンション)、新設病院施設のZEBなど、さまざまな施設において脱炭素化が進められます。
5. 五島市(長崎県)
五島市は、再生可能エネルギーの利用促進に積極的に取り組んでおり、リユース太陽光パネルを活用したオンサイトPPAモデルを700件規模で導入します。このPPAモデルにより、個々の家庭や事業所が自ら電力を生成し、再生可能エネルギーの使用を促進します。また、卒FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度の終了)太陽光パネルをリユースし、蓄電池を併設する事業モデルも導入され、地元の電力需要を効率的にマネジメントするための基盤が構築されます。
3、日本全体で広がる脱炭素の波
今回の第5回選定によって、「脱炭素先行地域」の計画提案数は合計82件となり、これに関わる自治体は36道府県から38道府県に広がりました。地域ごとに異なる資源や条件を最大限に活用しながら、それぞれが持続可能なエネルギー社会の実現に向けて先進的な取り組みを行っています。
特に注目すべきは、地域特性を生かした独自のプロジェクトが多く見られる点です。例えば、被災地での農業と再生可能エネルギーの両立や、先進技術を駆使した太陽光発電設備の導入など、それぞれの地域が持つ課題に対応しながら、将来的に全国で展開可能なモデルケースを作り上げています。
4、未来に向けて 地域主導の脱炭素化の意義
これらの取り組みは、単に温室効果ガスの削減にとどまらず、地域経済の活性化や災害に強いエネルギーインフラの構築にも寄与しています。特に、地域主導のエネルギーシステムの確立は、地域住民の生活を支え、地元産業の発展にもつながる重要なステップです。また、脱炭素化の実現には、地域だけでなく、企業や大学、住民など、幅広いステークホルダーの協力が不可欠です。
今後、これらの「脱炭素先行地域」の取り組みが成功すれば、他の地域にも波及し、日本全体のカーボンニュートラル達成に向けた強力な後押しとなるでしょう。
応援しよう
各地で進む「脱炭素先行地域」の取り組みは、2030年のカーボンニュートラル実現に向けて日本全体を牽引する重要なプロジェクトです。それぞれの地域が、独自の資源を活用しながら、再生可能エネルギーの導入や省エネ技術の普及を進めています。これからも、持続可能な未来に向けた地域の取り組みに注目し、応援していきたいですね。
「脱炭素先行地域」新たに9件、ペロブスカイト太陽電池の導入など
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04491/?ST=msb&n_cid=nbptec_tectw
各地で進む「脱炭素先行地域」の取り組み。持続可能な未来への一歩!|pvlabo2020 @solarpower2035 #note https://note.com/pvlabo_2020/n/n9a1420d4e7c2?sub_rt=share_pb
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