中小企業における脱エクセル、kintoneで業務効率化を実現した事例 | 七転び八起きの爺さん

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中小企業における脱エクセル、kintoneで業務効率化を実現した事例

 

中小企業において、日々の業務でExcel(エクセル)を使っている企業は少なくありません。顧客管理やプロジェクト管理、経費精算など、業務の多くをExcelで行っていると、属人化や手間のかかるデータ入力、最新の情報が共有されにくいといった問題が生じがちです。しかし、システム導入には予算がかかるため、新たなソリューションを導入するのは難しいと感じている企業も多いでしょう。

そんな中、限られた予算でもシステム化による業務効率化を実現した山豊工建の事例をご紹介します。同社は、Excelの運用を脱却し、クラウド型業務改善プラットフォーム「kintone」を導入することで、残業時間の大幅削減と業務効率の向上を達成しました。

 

1. 山豊工建の事例に見る「脱エクセル」の必要性

山豊工建は、愛知県を拠点に個人住宅の新築・リフォームなどを手がける中小企業です。以前の同社では、顧客管理や進捗管理など多くの業務がExcelによって管理されていましたが、属人化やデータの管理ミス、煩雑な入力作業などが業務効率を阻害していました。

a. 脱エクセルが避けられない理由

Excelは柔軟性が高く、誰でも手軽に使える反面、特定の担当者に運用が依存してしまう「属人化」の問題が発生しやすいのが欠点です。担当者がいないと操作方法が分からない、最新のデータが社内で共有されていない、といった問題に直面する企業も多いのではないでしょうか。

また、データが煩雑化しやすく、誤入力や重複が生じやすい点も問題です。Excelでは自動化や管理の効率化には限界があり、特に業務が拡大するにつれてその欠点が顕著になります。

 

2. kintone導入の背景と課題

山豊工建がkintoneを導入するにあたり、最も大きな課題は「予算の不足」でした。同社は、営業をメインとする企業であり、実際に売上を生み出さないシステム開発には多くの費用をかけることが難しかったのです。さらに、従業員の多くがパソコンに不慣れで、新しいシステムの導入には否定的でした。

このような状況下で、高橋加奈氏(山豊工建の社員)が、システム導入の旗振り役となりました。彼女は、ITの知識が豊富なわけではありませんが、「業務効率化を進めなければならない」という上司からの要請を受け、奮闘しながらkintoneアプリ開発に挑戦しました。

 

3. kintoneでの業務効率化の取り組み

kintoneは、業務プロセスをカスタマイズできるクラウド型の業務改善プラットフォームです。高橋氏は、まず既存のExcelで管理していたデータをkintoneでシステム化することから始めました。以下の3つのポイントを意識してアプリ開発を進めたそうです。

a. 分かりやすい見た目で誰でも使いやすく

パソコンに慣れていない社員でも直感的に操作できるよう、シンプルかつ分かりやすいインターフェースを心掛けました。よく使うアプリケーションをポータルサイトにアイコンで表示し、どのアイコンがどの業務に対応しているかを一目で理解できるように工夫しました。

また、会議資料やプロジェクト情報などのリンクも整理し、必要な情報をすぐに見つけられるようにしています。これにより、検索や資料探しにかかる時間を大幅に削減できました。

b. 作業効率を高める工夫

作業効率を向上させるために、kintoneでの入力作業も工夫しました。高橋氏は、「入力項目を最小限に留め、文字入力を最終手段にする」というポリシーのもとでアプリを作成しました。申請フォームでは、文字入力は1回のみとし、あとは選択式にすることで、キーボードに不慣れな社員でもスムーズに処理できるようにしました。

さらに、報告や連絡、相談が漏れがちだった社内コミュニケーションについても、kintoneの通知機能を活用して改善しました。これにより、誰が何をしているのかが常に共有されるようになり、業務の透明性が向上しました。

c. 予算をかけずにできるカスタマイズ

予算が限られているため、有料プラグインを使わずに、可能な限り自力でカスタマイズを行ったことも成功の要因です。高橋氏は、プログラミングの基礎を「Progate」という学習アプリで独学し、kintoneのカスタマイズに取り組みました。

例えば、見せたくない項目を非表示にしたり、重要な書類に対して自動的に警告を表示したりといったカスタマイズを行い、業務の効率化を進めました。このような工夫により、無駄な費用をかけずに高機能なシステムを構築できたのです。

 

4. 導入後の成果は、残業時間の削減と職場環境の改善

kintoneを導入した結果、山豊工建では大きな成果が得られました。特に注目すべきは、月の平均残業時間が60時間から25時間にまで削減されたことです。これにより、19時にはほとんどの社員が退社できるようになり、社員の負担が大幅に軽減されました。

また、紙の報告書が減ったことで、デスクの上に書類が山積みになることもなくなり、業務の可視化が進みました。さらに、社内の雰囲気も良くなり、若手社員の育成に時間を割けるようになったといいます。効率化による余裕が生まれたことで、職場全体のモチベーションも向上しました。

 

5. 中小企業が脱エクセルを進めるべき理由

この山豊工建の事例は、多くの中小企業にとって非常に参考になる事例です。予算が限られていても、kintoneのようなクラウド型プラットフォームを活用することで、業務の効率化や残業時間の削減が実現できることを示しています。

a. 業務の透明性と可視化

Excelで管理していた業務をシステム化することで、データの透明性が高まり、リアルタイムでの情報共有が可能になります。これにより、業務の進捗が可視化され、無駄な作業や重複した業務が減少します。

b. 社員の負担軽減と生産性向上

手作業で行っていたデータ入力や管理業務が自動化されることで、社員の負担が軽減され、より重要な業務に集中できるようになります。これにより、生産性が向上し、限られたリソースを有効活用できるのです。

c. コミュニケーションの改善

kintoneの通知機能やプロセス管理機能を活用することで、社員間のコミュニケーションも円滑になります。特に報告や連絡が漏れがちな場合でも、システムが自動的に通知してくれるため、ミスが減り、業務の効率が上がります。

 

結論

脱エクセルを進めることで、中小企業でも業務の効率化と働き方の改善が実現可能です。kintoneのようなクラウド型の業務改善ツールを活用することで、予算に限りがある企業でも、自分たちに合ったシステムを構築できるのです。

中小企業にとって、kintoneは業務改善の強力な味方です。脱エクセルを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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