電力需要増加と脱炭素の挑戦!エネルギーの未来を見据えて | 七転び八起きの爺さんこと、飯田欽次

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電力需要増加と脱炭素の挑戦!エネルギーの未来を見据えて

 

日本のエネルギー市場は今、急速に変化しています。かつては電力需要が減少する予測もありましたが、最近のデータセンターや半導体工場の増設により、今後の需要は再び増加に転じる見通しです。一方で、国際的な脱炭素化の潮流も無視できない課題として立ちはだかっています。これらの変化にどう対応するかが、日本のエネルギー業界、ひいては国全体の競争力を左右する重要な鍵となります。

今回は、日本のエネルギーの将来に対する見方として、特に電力需要の増加と脱炭素化の取り組みを中心に整理し、今後の展望について考察します。

 

1、電力需要の急速な増加と、グリーンエネルギーへの期待

まず、電力需要が増加に転じた理由は、主に産業用の需要が拡大しているためです。これには、データセンターや半導体工場の新設が大きな要因となっています。日本の送配電大手10社が2024年1月に発表した予測によると、2033年度までに電力需要は約4%増加する見通しです。特に、産業用の電力需要は年率1.4%で成長するとされています。

ここで注目すべきは、電力需要の増加が主に「再生可能エネルギー」に依存している点です。これまでの化石燃料による電力供給は、今後徐々に縮小していく一方で、グリーンエネルギーの需要が大幅に増加すると予測されています。特に大企業の間では、脱炭素化を重視した電力調達の動きが加速しており、再生可能エネルギーの確保が企業の競争力を左右する重要な要素になってきました。

 

2、電力業界の競争激化と、新興勢力の台頭と大手の課題

再生可能エネルギーの分野では、新興勢力や商社の存在感が増しています。これまでの火力発電と比べて、再生可能エネルギーの開発は比較的迅速に行えるため、資金力と意思決定の速さが競争力を左右しています。例えば、米グーグルやアマゾン・ドット・コムが自ら再生エネルギーの調達に乗り出し、日本国内でもセブン&アイ・ホールディングスが店舗の電力を直接仕入れる子会社を設立するなど、消費者が自ら電力を生産・保有する「プロシューマー化」が進んでいます。

一方、電力大手は莫大な負債を抱え、再生可能エネルギーへの移行に苦戦しています。日本の電力大手10社は、合計で28兆円もの有利子負債を抱えており、これが再生可能エネルギーへの投資を遅らせる要因となっています。さらに、脱炭素化の取り組みが進む中で、新興勢力に対抗するためには、早急に大型電源の脱炭素化を進める必要があります。

 

3、火力発電の未来と、燃料転換とコストの壁

火力発電は、日本の電力供給において依然として重要な役割を果たしていますが、脱炭素化の取り組みが求められています。そのための解決策として注目されているのが、石炭や液化天然ガス(LNG)を、水素やアンモニアといったクリーンな燃料に転換する方法です。

例えば、JERA(東京電力と中部電力が出資する火力発電最大手)は、2027年度までに石炭火力発電所で20%のアンモニア混焼を開始し、2035年度までに低炭素化を進める計画を立てています。しかし、火力発電所全体で見ると、こうした燃料転換が計画されているのはまだ一部で、全体の1割未満にとどまっています。

また、水素の価格はLNGの約2倍に達し、クリーンな水素を安定的に調達するためのインフラもまだ未熟です。こうした背景から、多くの電力大手は燃料転換に向けた投資判断を慎重に行っており、政府の支援策が固まるのを待っている状況です。

 

4、原子力発電の再評価と、その役割

脱炭素化においてもう一つ注目されているのが、原子力発電の再評価です。世界的に温暖化ガスの排出量が少ないという理由から、原子力発電が再び注目を集めており、日本でも再稼働が進んでいます。現在、稼働可能な原発は36基あり、そのうち12基が再稼働しています。

特に関西電力と九州電力は、再稼働した原発によって大きな収益を上げており、これら2社だけで電力大手10社全体のフリーキャッシュフローの約8割を稼ぎ出しています。原子力発電は、化石燃料を使用する火力発電に比べて温暖化ガスの排出量が少なく、大口需要家からも期待されています。

しかし、再稼働が進んでいない原発も多く、例えば東京電力ホールディングスの柏崎刈羽6号機や日本原子力発電の東海第2原発は、再稼働の準備が進んでいるものの、まだ稼働には至っていません。再稼働に向けた安全対策には多額のコストがかかり、これが電力会社の財務状況に大きな負担を与えています。

 

5、脱炭素化への投資と、未来の展望

日本が2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにするためには、2030年までに電源の脱炭素化を進める必要があります。これは、少なくとも年間5兆円規模の投資が必要だとされています。特に原子力発電所の新設には、1基あたり1兆円以上のコストがかかることもあり、限られた期間での集中投資が求められています。

しかし、すべての電力会社が同じペースで脱炭素化に取り組めるわけではありません。財務状況が悪化している企業は、脱炭素化への投資を進めることが難しく、今後の競争の中で遅れを取る可能性があります。そのため、今後の電力業界は、各社の経営体力によって優劣がより一層明確になってくると予測されます。

 

6、まとめ「エネルギーの未来への挑戦」

電力需要の増加と脱炭素化という二つの大きな課題に直面している日本のエネルギー業界ですが、これらの課題にどう対応するかが、今後の成否を大きく左右します。再生可能エネルギーや水素・アンモニアへの燃料転換、そして原子力発電の再評価が鍵を握っており、それぞれの分野での進展が期待されています。

限られた時間と資金の中で、いかに効率的に脱炭素化を進め、電力需要を満たすか。これは、今後数十年にわたる日本のエネルギー戦略の成否を決定づける重要なテーマです。企業の経営体力が試される中で、電力業界全体がどのように変化していくのか、私たち消費者もその動向に注目する必要があります。

 

電力大手に「優勝劣敗」 需要増と脱炭素で選別進む -

日本経済新聞 日経ヴェリタス2024年9月29日号https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC192F80Z10C24A8000000/

 

電力需要増加と脱炭素の挑戦!エネルギーの未来を見据えて|pvlabo2020 @solarpower2035 #note https://note.com/pvlabo_2020/n/ndd2d059374d5?sub_rt=share_pb

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