ウエストホールディングスから見る太陽光発電業界の将来性 | 七転び八起きの爺さん

七転び八起きの爺さん

いろいろな事業の失敗と成功を繰り返した事業経験を持つ爺さんです。

ウエストホールディングスから見る太陽光発電業界の将来性

1. ウエストホールディングスの現状と課題

ウエストホールディングス(ウエストHD)は太陽光発電所の建設において自治体や地元住民との合意形成に時間がかかっており、2024年8月期の業績予想に達しない懸念が強まっています。これに加えて、再生可能エネルギーに懐疑的なトランプ前米大統領が再び影響力を持つとの見方から株価が急落しました。

2. 業績の進捗状況

  • 24年8月期の純利益計画: 前期比24%増の74億円

  • 23年9月〜24年5月期の純利益: 25億円(進捗率35%)

  • QUICKコンセンサスの予想純利益: 68億円(会社予想より低い)

3. 自家消費型太陽光発電設備の設置案件の減少

23年8月期の売上高437億円のうち218億円を占め、ピーク時の23年6〜8月期には71億円を稼ぎましたが、23年9月〜24年5月期の9カ月間で114億円にとどまり、24年8月期の計画の半分程度しか達成できていません。

4. 野立て太陽光発電所の販売不振

発電出力50キロワット未満の低圧発電所の販売件数が目標の年間3000件に対し、5月末時点で目標の約3分の1しか達成しておらず、通期でも2000件弱にとどまる見通しです。原因は農地法の規定による許可取得や自治体・地域住民との合意形成に時間がかかることにあります。

5. キャッシュ・コンバージョン・サイクルの延長

計画から引き渡しまでの期間短縮が難しく、材料を仕入れてから最終的に現金回収するまでのキャッシュ・コンバージョン・サイクルが23年8月期には251日と前期より83日延びています。

6. 売上高原価率の悪化

23年9月〜24年5月期の売上高原価率は67%で、23年8月期から2ポイント悪化しています。コスト削減には中国製太陽光パネルの単価下落が期待されますが、米中対立の影響で調達価格が上昇する懸念があります。

7. 今後の見通しと焦点

24年8月期の業績が予想に届かなければ、3年連続で期初の予想未達となる可能性があります。ウエストHDは24年6〜8月に大型の高圧発電所の引き渡しを予定していますが、低圧発電所の遅れをどこまで埋め合わせできるかは不透明です。市場は24年8月期の決算発表時に実現可能性と成長性を両立した経営計画の打ち出しを期待しています。

太陽光発電業界の将来性

1. 技術革新とコスト削減

太陽光発電技術は急速に進化しており、効率の向上とコスト削減が進んでいます。これにより、太陽光発電の導入コストが低下し、より多くの企業や家庭が採用しやすくなっています。特に、中国製太陽光パネルの価格下落は、コスト削減に大きく寄与しています。

2. 再生可能エネルギーへの政策支援

各国政府は、再生可能エネルギーの導入を促進するためにさまざまな政策支援を行っています。例えば、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)や補助金、税制優遇などが設けられており、これが太陽光発電市場の拡大を後押ししています。

3. 環境意識の高まり

気候変動への関心が高まる中、企業や個人の環境意識も向上しています。このため、クリーンエネルギーへのシフトが進んでおり、太陽光発電の需要が増加しています。特に、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の一環として、太陽光発電への投資が進んでいます。

4. エネルギー自給自足のニーズ

エネルギーの自給自足を目指す動きが強まっており、太陽光発電はその一環として重要な役割を果たしています。特に、災害時のエネルギー供給やエネルギーコストの削減を目的とした導入が増えています。

5. 国際的な協力と競争

太陽光発電技術は国際的な協力と競争を促進しています。技術の共有や共同研究、企業間の競争が技術革新を加速させ、市場全体の成長を支えています。

まとめ

ウエストホールディングスの現状と課題を通じて、太陽光発電業界の将来性を見ていくと、多くの課題がありながらも技術革新や政策支援、環境意識の高まりなどが市場の成長を後押ししています。これからの成功には、これらの要素をどのように活用し、課題を克服していくかが鍵となります。
 

#太陽光発電 #ウエストホールディングス #再生可能エネルギー #エネルギー自給自足 #環境意識