(要約)第7次エネルギー基本計画の策定議論がスタートしています。 | 七転び八起きの爺さん

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(要約)第7次エネルギー基本計画の策定議論がスタートしています。再エネ普及の立場から、大橋弘・東京大学教授の論考を以下にまとめ。

1. エネルギー需給見通しと投資

自由化された市場で将来の需要を正確に予測することは困難
しかし、将来の需要見通しは、発電事業者や金融機関の投資判断に不可欠
生成AIの普及による需要増加と、人口減少・省エネによる需要減少の両方の可能性を考慮
電力広域的運営推進機関の検討会資料に基づき、40年時点で電力需要は1割程度増加と予測
高経年化電源の更新と新規電源投資の両立が必要

2. 安定供給と脱炭素

エネルギー自給率13.3%と主要7カ国最低の日本は、燃料海外依存を低減しつつも当面は化石燃料に依存
ロシアのウクライナ侵攻で顕在化した地政学的リスクと、中国・インドのエネルギー需要増大による調達リスク
2050年カーボンニュートラル達成に向け、30年までの温室効果ガス排出量46%削減目標に加え、更なる削減を求める声
再エネ比率20%を洋上風力発電などで更に高めるには時間かかる
脱炭素火力への新規投資が必要: 水素・アンモニア火力だけでなく、e-メタンやCCSも検討
熱利用分野の電化と産業プロセスの脱炭素化も不可欠: 製造プロセスの脱炭素化は、産業立地・クラスターごとの脱炭素サプライチェーン整備と歩調を合わせる必要がある

3. 産業政策

熱利用分野(運輸・産業用)の脱炭素化は、国内雇用を守るために重要
水素・アンモニアなどの海外資源に頼る脱炭素化は国益を損ねる
国と地方の新たな協業による、GX推進と地域活性化
多額の国民負担を生む再エネ買い取り制度は、国内産業育成につながらなかった教訓を生かす
真面目な国民性を活かし、国益にかなう賢い基本計画策定を期待

再エネ普及推進

需給見通しに基づき、再エネ電源の導入計画を明確化
安定供給と脱炭素を両立する、費用対効果の高い脱炭素火力の導入を支援
熱利用分野の電化と産業プロセスの脱炭素化に向けた、産業政策を推進
国と地方の協働による、地域活性化と再エネ普及を両立する政策を展開

以上、大橋教授の論考を再エネ普及の視点からまとめました。

第7次エネルギー基本計画では、再エネ普及を加速させ、2050年カーボンニュートラル達成に向けた、安定供給と脱炭素、そして経済成の三側面を両立する具体的な道筋を示すことが期待されます。

電力需給見通しの不確実性、地政学的リスクの高まり、カーボンニュートラルへの道筋など、エネルギー環境は激変。エネルギー基本計画で再エネ普及の具体的な道筋を。

#再エネ 【日経より】2040年度の #エネルギー計画(上) 脱炭素投資にコスト意識を #大橋弘・東京大学教授 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81494060Z10C24A6KE8000/