太陽光発電システムに関する「小規模事業用電気工作物にかかる届出制度等」について
小規模事業用電気工作物に係る届出制度等の概要
10kW以上50kW未満の太陽光発電、20kW未満の風力発電設備は「一般用電気工作物」と分類されてきましたが、新設される「小規模事業用電気工作物」に分類されることに。
小規模事業用電気工作物が新たに負う義務が、2023年(令和5年)3月20日(月曜日)に施行されます。
①技術基準適合維持 技術基準適合維持義務の対象が拡大され義務化
②基礎情報届出 基礎情報の届出が新設され義務化
③使用前自己確認 使用前自己確認制度の対象が拡大され義務化
新たな義務①技術基準適合維持
新たに小規模事業用電気工作物になることで、設置者に対して、電気工作物が技術基準に 適合した状態を維持する義務が課される。
現行制度でも“一般用電気工作物”である低圧太陽光も、技術基準に適合させる義務はあり ます。施行後は技術基準に適合させるだけではなく、適合状態を維持することが求められ ます。
参考:技術基準
電気事業法>第三章 電気工作物>第三節 一般用電気工作物>技術基準適合命令
第五十六条 経済産業大臣は、一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合 していないと認めるときは、その所有者又は占有者に対し、その技術基準に適合するよう に一般用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止す べきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
(経済産業省令)発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令
発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈
電気設備の技術基準の解釈の解説
適合状態を「維持する」と示すとは
具体的な対応として、
小規模事業用電気工作物では「発電所に関する基本的な情報」の届出をすることとなります。
この届出が2つ目の義務「基礎情報の届出」です。
新たな義務② 基礎情報届出
所有者情報や設備に係る情報及び保安管理を実務的に担う者等の基礎的な情報の経産省への届出を求める、というもの。
技術基準適合維持の項目でもご紹介したように、この基礎情報届出は、事業用電気工作物における「保安規定の策定」や「主任技術者の専任」の代替という位置づけです。
設備やその設置者に係る情報が過不足なく含まれていること
電気工作物に係る保安体制が確認できることを満た届出です。
基礎情報の届出事項
(1)設備や設置者に係る基本的情報
設置者
事業者名
代表者名
事業者の住所
電話番号、メールアドレス
設備
事業名
電気工作物の種類、出力規模
電気工作物の所在地(住所)
(2)保安体制に係る情報
保安体制
保安管理担当者名(保守管理業務の受託者含む)
点検頻度
基礎情報届出の対象
既設 FIT認定あり
法の施行時には届出不要。
基本情報の変更時には遅滞なく届出が必要。
FIT認定なし
(完全自家消費など)
法の施行から6ヶ月以内に届出が必要。
変更時には遅滞なく届出が必要。
新設
FIT認定あり・なし
新設・変更時の使用開始前に届出が必要。
新たな義務③ 使用前自己確認
新たに小規模事業用電気工作物への位置づけられることで、電気工作物の運転開始前
(使用前)に技術基準適合性を確認し、その結果を経産省へ届け出る
「使用前自己確認制度」の対象となる、というもの。
確認業務を専門の施工業者やO&M事業者へ委託することを可能ですが、当該委託事業者 の情報についても経産省への届出が求められます。
使用前自己確認の対象・確認項目の拡大
現行制度では使用前自己確認制度は500kW以上が対象であったところ、小規模事業用電気工作物も対象に追加された。
また災害対策・レジリエンスの強化の観点から、電気的リスクだけではなく構造的リスクについても把握するために、構造・基礎の確認項目拡充されました。
使用前自己確認の対象
基本的には施行日以降に使用を開始する設備が対象です。
施行日以前から使用を開始している設備は対象外ですが、一定の変更を行った場合は使用 前自己確認結果の届出が求められます。
使用前自己確認が必要となる変更
10kW以上の増設または支持物を含む取替えで、合計出力が2,000kW未満の設備
10kWかつ出力5%以上の太陽電池パネルのみの取替えで、合計出力が2,000kW未満の設備
20%以上の電圧の変更で、合計出力が10kW以上2,000kW未満の設備
支持物の強度の変更で、合計出力が10kW以上2,000kW未満の設備
支持物の強度に影響のある修理で、合計出力が10kW以上2,000kW未満の設備