
日経「電機衰退とアイリス34年」この記事から考えた、中小製造業のための「非合理の理」発見ワークシート
日本経済新聞に掲載された
「電機衰退とアイリス34年」 という記事を読み、強く考えさせられました。
電機衰退とアイリス34年 - 日本経済新聞東京・霞が関の経済産業省にほど近いJR浜松町駅周辺といえば、電機業界の大手メーカーが本社や主要拠点を構えるオフィス街だったwww.nikkei.com
日本の電機産業が「失われた30年」を歩んできた一方で、
アイリスオーヤマは同じ30年を成長の時間に変えてきた。
なぜ、同じ日本の製造業でここまで明暗が分かれたのか。
記事の中で特に印象に残ったのが、
一見すると非効率で、非常識にすら見えるやり方を
「あえて徹底することで、他社に真似できない強さをつくってきた」
という点でした。
これは大企業だけの話ではありません。
むしろ 下請け構造からの脱却を模索する中小製造業 にとって、
極めて重要なヒントが詰まっていると感じました。
そこで今回は、
この記事をヒントに考えた
「中小製造業のための〈非合理の理〉発見ワークシート」
を共有します。
■ なぜ今、「非合理の理」なのか
多くの中小製造業は、長年こう言われ続けてきました。
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もっと効率化しなさい
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標準化しなさい
-
コストを下げなさい
-
無駄をなくしなさい
もちろん、効率化は大切です。
しかし、その先に待っているのは――
価格競争と、代替可能な存在になる未来 であることも少なくありません。
アイリスオーヤマが選んだ道は、その逆でした。
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工場を集約しない
-
多頻度・小口配送をやめない
-
現場の声を直接拾い続ける
一見「非合理」。
しかしそれが、競合にとって越えられない壁になった。
この考え方は、中小製造業にこそ応用できます。
■ 中小製造業のための
「非合理の理」発見ワークシート
以下は、
「効率化すべき弱み」として切り捨てられがちな行動の中から、
本当は“強み”になり得るものを見つけ出すためのワークシート です。
社長・幹部・現場リーダーで一緒に考えることをおすすめします。
【STEP 1】
自社が“あえて手間をかけていること”を書き出す
まずは、
「正直、効率は悪いと思っていること」
「やめた方が楽だが、なぜか続けていること」
を洗い出します。
記入例
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小ロット・多品種対応
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急な仕様変更への対応
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現場への同行・立ち会い
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図面の細かい修正
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試作のやり直し
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納品後のフォロー
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夜間・休日対応
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利益が薄い仕事でも断らないケース
➡ ここでは「良し悪し」を判断しません。
とにかく書き出します。
【STEP 2】
その手間は「誰に」「どんな価値」を生んでいるか?
次に、その非合理な行動が
顧客側ではどんな価値になっているか を考えます。
問い
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どんな顧客が特に喜んでいるか?
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どの工程・どの場面で助かっているか?
-
顧客はそれを「当たり前」と思っていないか?
-
他社では、なぜ同じことができないのか?
➡ ここで初めて、
「手間=価値」に変わり始めます。
【STEP 3】
それを続けることで生まれている“見えない資産”は何か?
アイリスが強かった理由の一つは、
続けることでしか蓄積されない暗黙知 を大量に持っていたことです。
問い
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ノウハウは社内に溜まっていないか?
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判断スピードが他社より早くなっていないか?
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「あの会社じゃないと無理」と言われた経験はないか?
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長く続く取引の理由は何か?
➡ ここに、真の競争力があります。
【STEP 4】
「非合理」を“あえてやる理由”として言語化する
非合理は、
言葉にしない限り、単なる苦労で終わります。
問い
-
なぜ、それをやめないのか?
-
それによって、顧客は何を得ているのか?
-
営業が一言で説明するとしたら?
-
ホームページに載せるなら、どう書くか?
例:
「当社は小ロット対応をやめません。
それは、お客様の試行錯誤を止めないためです。」
➡ これが「戦略としての非合理」です。
【STEP 5】
下請け脱却につながる“次の一手”を考える
最後に、その非合理を
未来のビジネスにつなげる視点 を持ちます。
問い
-
その強みを活かせる新しい業界は?
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用途提案型の商品・サービスにできないか?
-
「作る会社」から「一緒に考える会社」へ進めないか?
-
5年後、何で選ばれる会社でありたいか?
■ おわりに
「電機衰退とアイリス34年」という記事は、
単なる成功企業の紹介ではありません。
それは、
効率だけを追い続けた結果、日本の製造業が何を失ったのか
そして、
何を取り戻せばいいのか
を静かに問いかける内容でした。
中小製造業には、大企業にはない武器があります。
それは、
非合理を続けられる自由と、現場に近い距離感 です。
非合理は、磨けば戦略になる。
そしてそれは、下請けから抜け出すための第一歩になる。
このワークシートが、
誰かの会社の「気づきのきっかけ」になれば幸いです。
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