漢字やひらがな、カタカナの一つ一つが踊るように浮き上がり、
江戸の街並みを突っ走る犬の姿と、その犬を迎える町娘の映像へと
姿を変えました。
あたかも自分が江戸時代にタイムスリップして
その光景を目の前で見ている気分です。
単なる文字の羅列。
それなのに、この文字は、
異世界と繋がっている。
なんともいえない不思議な感覚に包まれました。
文字が踊りだし、映像を見せてくれる瞬間。
久しぶりに体感しました。
この体感を蘇らせてくれたのは、
『こんぴら狗』
2018年の課題図書（高学年向け）です。
江戸時代、庶民の間でお伊勢参りやこんぴら参りが流行したそうです。
そうはいっても、足のない時代、遠方から参拝に行くことは一苦労。
お参りに行きたいけれど、どうしても難しい……
そんなとき、自分の代わりに飼い犬に参拝させるという、なんとも驚きの風習があったそうです。
讃岐金比羅山参りに出かける犬を
「こんぴらいぬ」
と呼んだらしいのですが……。
ムツキという犬が、こんぴら狗として無事にお参りを果たせるのか
その道中を描いた物語です。
ネタバレになりますが、
ムツキは無事に、金毘羅参りを果たし、
飼い主の弥生の元へ帰ってきます。
いよいよラスト。
ムツキが、慣れ親しんだ懐かしい街の匂いを感じとり
飼い主の元へと走りに走ります。
そして、飼い主弥生との感動の再会。
このシーンで、
文字は映像へと姿を変えたのです。
個人的に、物語を読むと、
必ず頭の中に映像が浮かんできます。
とりわけ、この本は、ありありと映像が浮かびました。
情景描写が素晴らしいのです。
ページを捲るたびに、チェックせずにはいられない
情景描写に出会います。
書くときの参考になること請け合いです。
文章を読んで、
頭の中にイメージを広げること。
実は、
全ての人がやっているわけではないと気づいたのは
作文を教えるようになってからです。
読解ができる子は
イメージを使っています。
反対に、
主人公の心情を把握できない子は、
総じてイメージが湧かないようです。
たとえば、私は、
英語の物語を読んでもイメージが湧きません。
（大学卒業後、ほとんど英語に触れることはありませんでした）
それは、英語の語彙力がないため
理解できないからです。
文法的な構文は分かっても、ところどころ単語の意味が捉えられず
結果、イメージが映像になりません。
語彙力がないことが
イメージが湧かない＝読解力がない
大きな原因だと思います。
言葉を知っていても
自由自在に使いこなせないと
正確な意味での「語彙」ではありません。
語彙を強化するには
やはり、頭の中で考える段階で使い、
話す、書く、という行為へと繋げていくことが大事です。
読解力不足は、
将来、相手の話が理解できないことや
理解できたつもりで曲解してしまうことへとつながります。
つまり、人間関係において
大きなトラブルになってしまう。
作文の勉強は、どんな習い事よりも優先されるべきもの。
その理由は、人生に活かせる勉強だからです
書くことを
気軽に学んでみませんか？
全国どこからでも学べるオンライン講座です。
ぜひご覧ください。
ひとりでも多くの子が
書くことで自分の資質に気づいたり
自分を表現する楽しさを知ったり
自分の夢を意識したりできるといいなあと思い
日々、作文教育に携わっています。
