二宮が喋ったのか
まあ、仕方の無い事か…
コンサートが終わったばかりの今、目立ってやることも無い
ただ、基礎練習を怠るな、という事位だ
潤をチラッと見ると泣きそうな顔をしてた
今すぐ駆け寄って抱き締めたい
でも、地獄の扉を開いた俺には、それが叶う事は無いだろう
俺は潤に背を向け、指揮者の為に用意されている椅子に座った
そこに二宮が寄って来て、軽くじゃれついて来る
「やめろ」
低く唸るように言った
二宮はビックリしてたものの、すぐに真顔に戻り
「アナタはワタシが軽く迫っただけで抱きました
それがどういう意味か、分かってますよね?」
そう耳打ちして俺の元を離れて行った
「クソッ」
小さく呟いて、自分の足を拳で何度も叩いた
自分の愚行に今更ながら腹が立つ
でも、それを露わにすれば二宮を傷付ける
もう、何が良くて何が悪いのか分からなくなっていた
一度頭の中を整理したいから早退させてもらう事にして
そしたら二宮が付いて来るから
「一人になりたい」
そう告げると
「静かにしてる」とか「ジャマはしない」とか色々言って、一緒に居たいと懇願して来た
俺は暫く考えて、このまま二宮を置いて行っても状況は悪化すりんじゃないかと思い
仕方無く一緒に帰った
昨日の様になってはマズイ
今日は早目に着替えも用意したし、俺は自分だけソファーで寝る準備もした
二宮が上がって来たら、サッサと風呂に入って寝てしまおう