633 | ねぇ、センセイ。

ねぇ、センセイ。

『幸せになる』って約束した。

それは
先生とは別の誰かを
選ぶってこと。

Dr×OLの奇妙な関係。

 
『最後、バタバタしちゃってごめんな。
でも逢えてよかったよ。
またね!』
 
『またね!』
 
そう言うと、繋いでいた手が
どんどん離れていく。
そして、人ごみに消えていく先生が
何度も振り返りながら
走っていく。
 
 
その姿が見えなくなって
大きなため息が出た。
 
『行っちゃった…』
 
あまりに呆気ない、別れ。
なんだったんだろう。
 
ほんと、嵐みたいな人だ。
 
 
『またね、かぁ』
 
もっとちゃんと、
バイバイってしたかったな。
 
もっと、なんか、
ちゃんとさ…。
 
 
そう思った時に
メールが来た。
 
『りぬに逢えてよかったよ。
ありがとう。
うるつやりんしなさい♪』
 
大事にするね、ありがとう。
 
 
思わず、先生からもらった
プレゼントを見た。
 
あぁ、一緒にいたのは
間違いじゃないんだな、と思いながら。
 
 
 
これが、あたし達の二年半ぶりの再会。