一滴の涙も似合わぬ空天にサイレント映画の走馬灯
コンフィチュールシュトーレンきっかけがつかめない朝の発音
落とされたまま土に還るかたっぽ手袋胸のあたりが少し痛い
転寝が永遠の眠りみたいになりそうで昔の名前で呼ぶしーちゃんと
帰りたい場所がどこだかわからない大晦日の除夜のね聞くと
ブンイレのラテと満月今夜だけは間違っていない生き方で歩く
角川の黄色い辞書だけは捨てないで14の君の吐息に染まる
歳月が花瓶の底に沈んでゆく始まりのない命の途中です
黒豆と小豆を煮ている昼下がり、突然とどめたくなる歌が降りてきて書き留めたはずの言葉がまた右往左往と騒がしくなる大晦日まであと一日。
きっと同じ一日の繰り返しだと信じてみたくなる、明日も明後日も。