大寒の予感はしていたのだった。
しかし、去年、母がインフルを誤って2回打ち、最早命に関わる自己管理は無理、と学んであろう兄に期待もしていたのであった。
残念至極。
母にも兄にも、残念至極を連呼したくなる零下の夜は更けたまま、妹の脳内は停滞している。
そう、また、やっちまったのが、89歳わが母です。
お薬、夕食後、2回飲んじゃったのが、89歳と1か月のわが母です。
帯状疱疹で処方された抗ウイルス薬、バラシクロビルと鎮痛剤のカロナール。
この薬の名前怖すぎて、娘はバラシテノビル、みたいに覚えていたけど、もう頭にインプットされまくってしまったよ、おかーさん。
バラシテのびちゃったらどーするのよ、おかーさん。
カロちゃん、1錠が200mgだったので、まだ許そう。
しかし、これも夕食後に4錠服用してしまうとは。
身長138cm、体重38キロの体格には過分な量ではないだろうか。
と思考展開してみても、薬神話から抜け出せない昭和一桁、お医者様から貰う薬は絶対良きモノと信じて疑わない。
困ったことに飲みすぎたら体にキケン、という観念があまりないのである。
しかも、89歳まで病院や薬とはほぼ無縁だったので、こうして毎食後服用すること事態、初めてのアタシ、こんな毎日、初体験かも、の母なのである。
思えば、皮膚科に行く前になぜ、一包化処方にしてもらえと兄に言っておかなかったのかと、後悔する。
が、たかが2種類、間違えようがないだろ、の範囲でもあるから恥ずかしい気もする。
かつてサプリを3種類ほど飲んでいた頃に買った、1週間分が収納できるお薬ケースだってあるではないか、兄よ。
と今度は兄に矛先を向ける。
今からでも遅くはないので、あれに入れるべきではないか、と提案すると、もう間違えないでしょ、と母への希望をまだ失っていない息子なのである。
初日の母は塗り薬を朝晩2回と書いてあるのに、3回位塗っていたよ、と笑いながら言える兄がうらやましい。
そうか、ベタメタゾンも処方されていたのか、とその時初めて知り、母が無造作にステロイドをどの位ぬりぬりしているのか、知りたいような知りたくないようなベタベタな気持ちになってくる。
ステロイドは薄く置くようにして塗ってくださいね、と薬剤師の口調で携帯で母に告げると、なんでそんな面倒なことしなくてはいけないのか、となぜかお怒りモードとなる。
医者も薬剤師も添付書があれば、最近ではステロイドの塗り方など説明しなくなったのだろうか。
あと5日。
薬ケースの話は無視されているようで、兄のお気楽ぶりは相変わらず続いている。
母も兄もわざわざこなくてよい、と言うのだが、果たして週末には帯状疱疹を抱えた母の体調がどうなっているのか、不安倍増の零下の夜はまだ続く、なのである。
追記
後で母の塗り薬はゲンタシン軟膏と判明。
だよね、なのである。
帯状疱疹にステロイド、あまり聞いたことがないので、不思議には思っていた。
母からやっと聞き出した薬の名前のゲンタをベンタ的に聞き取って、早とちりを
し、錯乱していたのは娘のほうだったらしい。