週に一度の実家参観日が、ここ半年はずぼら主婦の一泊参観日となっている。

そんなずぼら度が問題になりそうな騒動が勃発したのは、11月も半ば過ぎのとある昼下がり。

兄がコーヒータイムのために階下に降りてきた。

私の顔を見るなり、そういえば、あなた、母のインフルエンザの予約日、忘れていたでしょ、と唐突に言う。

 

訊けば、母のワクチン予約していた病院から4日前電話がきて、本日4時から予約しているが、どうなっているのか、と問い合わせがあったと言う。

予約時間は過ぎていたが、閉院1時間前なので確認のため電話をくれたらしい。

で、問題はここからなのである。

 

そう、兄は閉院1時間前と訊き、速攻で行かなきゃかと思い、妹に確認する手間を惜しみ、母を車に乗せ、ワクチンを打ちに行ってきたのだった。

さて、ここからは、この母にしてこの兄、そして、この妹ありの恥ずかしいお話となる。

 

実は、母はもうすでにワクチンを打っている。

忘れもしない10月25日の急降下する気温でぶるぶるのその日、母のワクチン接種のため、バイトを休みわざわざ実家に行き、接種付き添い係となったのが、娘であるワタクシなのであった。

確かに2回目を打ったAクリニックに予約をしたのもワタクシで、1か月以上先ですが、と言われたものの一応、キープしておいた。

その後、別のBクリニックに問い合わせてみると、明日打てますよ、となんなく言われ、じゃそれでお願いしますとなり、当日、接種完了。

帰宅後、兄にも「あの病院では先生が自ら打ってたよ」と話したのを覚えている。

兄も、そんな話、聞いたなと今更思い出している。

すでに息子も忘却の人になりそうな老々ワールドである。

 

その後、Aクリニックにはキャンセルの電話をしたつもりだったが、どうやらしていなかったらしい。

大失態、すぎて泣ける。

 

2回打った母をじっと見つめる息子と娘。

平気なのか、この人は、と何となくびっくりの笑いがこみあげてくる。

 

「えっ、じゃ、この人2回打ったのか」と兄。

「打ったんだよね」と妹。

「まー、何回打ってもいいじゃない」と母。

 

固まる、兄と妹。

 

「何回も打たないよ」

「コロナだって5回とか打ってる人、いるじゃない」

「インフルで2回打つのは量が少ない子供だけだよ」

「悪いもんじゃないからいいよ」

と、本人、ケロケロケロッピーである。

 

「問診票に1か月以内予防接種受けてないって、誰が書いたの? ママ?」

「代筆は、俺」

まずいだろ、それ。

 

ここで、母本人が2回目とわかっていたのか、といえば、かなり危うい。

1回目は確実に忘却の彼方の出来事となっている、のだろう、と再認識しておかねばならない。

2回打ってもいいのよ、というのは、もうコロナワクチンと混同さんの世界なのだが、ここまで、きてしまったか、おかーさん、なのである。

 

が、ここは、もうウッチャッタんだから仕方ない、とは気持ちを切り替えてみる。

さて、問題は副作用などの体調異変である。

列記されている副作用を読みながら、母に問診した後、Aクリニックに電話をしておいた。

この後、何かあった場合、すみませんがよろしくお願いします、と先生にお願いする。

これからは十分に気をつけますから、と先生にも己にも誓う。

 

結果、母は10月25日に一回目、そして、11月15日に二回目のインフルエンザワクチンを打ったのだが、わずか、3週間後で、打ってしまってどうなるかの88歳11か月なのである。

おバカな息子と娘のせいで、ワクチン0.5×2回を注入され、インフルマシマシの母。

今、干し柿を食した後、爪楊枝で自慢の歯のお手入れをしている姿にまた泣ける、の娘なのであった。