全卵ひとつやつどきはプリンをひとさじ 母の鼓動はまたひとつ減り

 

血圧計 巻いたままの静けさに 虫の音のように息つむぐ母

 

麦茶をチンして氷をかじる靴下はいたルンバは米寿

天国に続く階段みたいに長かった飯田橋なのに最果ての扉

 

死ぬまでは幸せだったそんな気分で今日も残すかあたしの足跡

 

ネット配信どんな不幸もお手軽に君の目の前にお届けしますと

 

誰かの声に似てるから炊飯器の君と呼んでみる逢魔が時は