癒される声というのがあって、なにかのきっかけでそんな声に巡り合えた時、心の中枢が違う次元に飛んでいく。

数年前から、年に数回、聴覚障害に見舞われるようになった私にとって、音というより周波音はすごく敏感なものになった。

このおじさんの声は耳の奥で膨張するとか、この水音は顎にまで響く、とか、人に話しても全くわからない感覚が出現。
以前の日常生活ではなにも気にならなかった音がカテゴリー別に私の脳にインプットされるようになった。

コットンみたいな感触で頭のてっぺんのツボ、百会から抜けるような声が好きで、最近ではボーカルのLefty Hand Creamやコトリンゴ、女優の土屋太鳳の声が心地よい。
女性に限っているわけではないが、気づくと携帯プレーヤーに入っている音源のほとんどは女性ボーカル。

耳がぷくぷくっとしてきて、もやっとした気分の時は、カナルのイヤホンを耳に押し込んで心地よい周波数を聴く、ただそれだけで目覚めたまま寝ているような世界へ。

耳鼻科でこの難聴が続くと聴こえなくなることもありますよ、と脅され、処方された薬をとりかえひっかえ服用していた時期もあったが、効果がなく、すでにあきらめの心境となった。
ぷくぷくとしてきた時は、ま、こんなもんで今日もいこう、と心地よい音を聴いて、癒される。

というわけで、今日も、私の耳奥には
Lefty Hand Creamの天然アレンジの音が巡っていて、5月の風には確かに色があるなー、と思いつつ、多摩川べりで寝転んでいる。