ブーツの底から
モデラートの風雲

街中が冬の奏なりを
演じて
坂の途中の教会の
掲示板の中
うつむくマリアは
今朝も震えている

ふゆそら
見とれたまま過ごした月日を
指折って
今日は死にたくない気分になる
から
想い出の毛布にくるまって
観覧車に乗り込む

あなたと
すれ違うこと
それだけが1日だったあの冬
あなたの
まとう空気に触れること
それだけが
季節だったあの頃

見下ろせば
体温につながる感情を
また思い出して
抜けるような青のふゆそら
冷め切ったすうぷをひとさじすくう

方角を失った帰り道
見上げればふゆそら
占うことを忘れた星座が
ようやく瞬き出して
マリアの言葉をてらしはじめる