今夜はひとりなので
眠くなるまでの小数点が
どこにあるのかわからない

3つある枕を選びながら
読み忘れた夕刊紙を布団の上に広げて
昼間のように煌々とした部屋で
人生を閉じた人の記事を読む

くだらなくて 寂しいもの
はかなくて 美しいもの
やわらかくて いとしいもの

ひとりきりの部屋にあふれている
365日

私が選んできたのだから
蝶道の迷いを
飛び続けていくのだろう

開いて結んだ両手の傷に
気づいた夜
今夜はひとりだと
やっと気づいた夜