還る場所
まさこさん 64歳
澄んだ瞳の見つめる先に
黄金色の麦穂が揺れる
海側の病室
午後には私もこの部屋を出て
薄く汚れたアスファルトに
記念日のように一歩をしるす
から
まさこさん
この窓から見えるのは麦ではなくて
海なのです
まさこです 64歳
生まれは岡崎市ウメゾノチョウです
ウメゾノチョウのサクラドウの
おまんじゅうがおいしいです
上のチエコはピアノ教師
真ん中のユミは保母さんで
下のルミちゃんは私と住んでます
ネジで巻いたオルゴール
途切れたセリフを巻き戻し
もう一度 最初から
まさこです 64歳
澄んだ瞳でたどる記憶のその場所に
還っているんでしょ まさこさん
つないだ手の暖かさに
なぜ 涙がでるのだろう
多分二度と会わない人と
窓辺で眺める麦の海
なだらかな呼吸の音
微かに聞こえる波の音
二人きりの静かな病室
そろそろ私の海が見えてくる
まさこさん 64歳
澄んだ瞳の見つめる先に
黄金色の麦穂が揺れる
海側の病室
午後には私もこの部屋を出て
薄く汚れたアスファルトに
記念日のように一歩をしるす
から
まさこさん
この窓から見えるのは麦ではなくて
海なのです
まさこです 64歳
生まれは岡崎市ウメゾノチョウです
ウメゾノチョウのサクラドウの
おまんじゅうがおいしいです
上のチエコはピアノ教師
真ん中のユミは保母さんで
下のルミちゃんは私と住んでます
ネジで巻いたオルゴール
途切れたセリフを巻き戻し
もう一度 最初から
まさこです 64歳
澄んだ瞳でたどる記憶のその場所に
還っているんでしょ まさこさん
つないだ手の暖かさに
なぜ 涙がでるのだろう
多分二度と会わない人と
窓辺で眺める麦の海
なだらかな呼吸の音
微かに聞こえる波の音
二人きりの静かな病室
そろそろ私の海が見えてくる