あらゆる暖房器具をフル回転していても寒い朝。
私の性格とは対極の位置に座する夫の行動が不可解なりなのである。
出勤の仕度をする6時50分、着替えの最中に服を選びながら「ほんのうじのへん」とか「ぺりぃー、ぺりぃぃぃー」とか小声で拍子をつけて腰を振っている。
「一体なにをやっているの、おたくは」と問うと、「ええーっ、これ、知らないの? ユーチューブでもやってるから見たら」と言われ、夫の出勤後、即タブレットを立ち上げて「ほんのうじのへん」で検索。
トレンディエンジェルの斎藤さんなら知ってるけど、このエグスプロージョンの名前は初耳でちょっと恥ずかしい。
「本能寺の変」、なんとなく小耳にはさんではいたが、どこかのお笑いグループがまた情けない踊りを披露しているのだろうと思っていた。
地デジをほとんど見なくなってから、世の中のお笑いやバラエティ族への知識がかなり不足気味であったとはいえ、
多忙で世の流行に疎い夫に教えられるなんて、屈辱的に悔しい。
反省しきりでマウスをクリックしながら、興味のある動画を全て見つくして固まる2時間。
ダンスと歴史、なんだか妙にはまるのは何故? 徳川家康も明智光秀もただの単純なおやじのように思えて、笑える。
しかも、踊っているふたりの関節の柔らかさときたら、ただモノではない感、たっぷりだ。こんなところで踊っているべき人材ではないでしょ、あんたたち、と言ってやりたくなる。
しかし、これ、踊りたくなるものなのか? 大の大人というか、初老間近のおやじが。
朝からテンション高く、着替えながらの合間に「ぺりぃ」とさえずる、お気楽な夫。
しかし、これだからハードなブラック仕事も続いているのかも、と納得。
朝、7時に出て夜の10時半に帰宅する日々なのだから、こんなアホらしい息抜きも必要なのかもしれないな、と思った朝のワンシー
ンであった。