凛としてやさしい 

ありふれた日常に触れたくて
靴紐を結ぶ
あわただしく確実に
通り過ぎた年月が
丸められたゴミとなって
潔く捨てられている12月の朝

区切られた線上の
一歩先
何かが終わり
何かが始まるのだと
信じて祈る人々のうつむく背中
今日もまた
群青に染まった天体から
いくつもの夢がこぼれて
消えてなくなる白い月

凛としてやさしい君の声
凛としてやさしい時計の針
凛としてやさしい冬の空