秋止符   

 

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あなたを送り出す

朝焼けの空に飛行機雲

燃えるようなオレンジの

深呼吸を繰り返し

足元のゴミ袋を拾い上げ

ルールに沿った人生を

週に3回捨てにいく

 

置き忘れた過去タチが

降るように落ちてくる

秋の夕暮れ

戻せない時計の針が
今も
あの日を刻み続けて
心の重さを巻き戻す

明日はきっと
秋の終わりを告げる花を
あなたと見に行こう


 

 その朝    

 

目覚ましを止めた指先から

また

朝の困惑が拡がるのだ

日々の繰り返しを

丁寧に 時系列にして

思うのだけれど

呆然として

目覚めた後も眠っている

私の身体

力の入らない 心の重さが

これほどまでに

意味をもつものと

またひとつ気づく あの日から

またひとつ

 

そうしてひとつずつ

私は誰かの為に

重ねた嘘を

てのひらにひとつずつ

包み込んでいたのかもしれない

 

降り出した雨の音に

消されてゆく

朝のざわめき

 

開け放した窓の向こうで

移り変わるあじさいの

刹那のように こぼれてゆく

私の朝

 

  

 覚 醒   

 

私達は

何度目覚めるのだろう

日曜日の朝

残酷な夢の残像に

再びまぶたを閉じる

こうしていつか

永遠の眠りにつける日が

ある日突然くるとしても

それは片隅の出来事で

変わらない日常は

あなたの為に永遠に続くのだ

 

どこまでも愚かな

私達は

最後のナニカを失って

引き返せない道にいる

また明日も 前に進むしかないことを

知らされる為に目覚めるのだろうか

灯りを消した街に佇み

月の大きさに見とれている

 

全ての窓に

小さなため息が

星のように輝いている夜

語り人は声を落として、眠りにつく