不良債権処理を経験し、頭取に就任したあと
民営化された日本郵政の社長を務めた著者の回顧録。
「私の履歴書」のような本ですが、
負債を抱えた商社の後処理、不良債権処理、
民営化のための郵政のリストラ、など
問題処理に終始取り組んだ仕事ぶりは頭が下がりました。
今だから明かせる秘話も盛りだくさんで、
銀行の調査の仕事、安宅産業の合併の根回しや
採算の悪い事業部の引き取り手の確保、
残された従業員の再雇用先の確保、と
銀行の仕事の内容も赤裸々につづられていました。
正直、銀行がそこまで踏み込んだ仕事をしているとは
知らず、どのエピソードも新鮮でした。
新しいアイデアをもとに事業を起こすような仕事と違い、
後処理ばかりを任されるという仕事は負担が高く、
地味で外部からの評価も得られにくいですが、
「仕事から逃げない」
という著者の姿勢は社会人として
胸をうたれるものがありました。
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