積極的傾聴~①受容~ | よっちゃんのさくらいろの日々

積極的傾聴~①受容~

 

さて、ロジャーズの来談者中心療法といえば、積極的傾聴です。

 

相手の話を聞くスキルです。

 

積極的傾聴には3つの土台があります。

①受容 ②真実 ③共感的理解

 

ここでは、①受容 について自分なりに語りたいと思います。

 

原書では Acceptance 日本語にすると 受容 です。

 

受容とは、あるがまま、そのままを、受け入れること。

 

そこには取捨選択もないし、歪曲や付加や脱落もない。

拒絶も否定もない。批判もジャッジもない。

 

ただただ、そのままを受け入れること。

 

自分の概念や価値観に合わなかったとしても、

今まで全く知らなかったものだったとしても、

立場や状況を問わず、

あるがままを受け入れる。

 

まずは受け入れること。

 

これが本当に難しい。

 

こうあるべきだ、という基準点はどこにもなく、

そのままをそのまま受け入れる。

 

例えば。

 

1個30円のジャガイモがあった。

 

それを受け入れる。

 

ジャガイモ農家の人のご苦労や思い、情熱、そのすべてを受け入れる。

 

パッケージ、値段、形、色、味、ついている泥、すべてを受け入れる。

 

受け入れる というのは、購入行動とは異なります。

ただ受け入れるだけ。

 

これなんです。

 

そういうジャガイモがあるんだな、と受け入れるだけ。

 

存在を認めるだけ。

 

そして、ほしいなら買う。買わなくてもいい。食べてもいい。食べなくてもいい。

 

受け入れているので、自分が欲しいものでなかったとしても、批判はしない。

文句も言わない。ただ、そうなんだ、というだけ。

 

それだけでいい。

 

そこから先は、また別の話。

 

なので、私が研修現場に立つと、こういう変なことが起きる。

 

自己分析を終えた発表者がせっせと自分のことを説明する。

その中には、エゴも、褒めてほしいという下心も、自慢も、入ってる。

自分が失敗したことには触れず、上手に隠す。

自分は悪くない。認めてほしい。努力を理解してほしい。

そんな感情があからさまに伝わってくる発表だったりする。

 

それを、そのまま受け入れる。なんなら「すごいね」とほめたりする。

でも、そのエゴや下心まで受け入れるために、たくさん質問してしまう。

 

これはどうしたの?こっちは何があったの?どうしてそんなにうまくいったの?

こっちは何?一言でいうと失敗だったの?何が起きたの?間違えたの?

同志てこっちは説明しないの?もっと詳しく話すと?つまり?

 

 

いつの間にか丸裸になったその人を、そのまま受け入れる。

 

そうか。そういう人なのか。

 

そこから考えるのは、どうして失敗を隠したくなっちゃったんだろう?

怒られると思ったのかな?私は上司じゃないのに?

 

いろんなことを考えて、次のテーマにうつる。

行くべき方向はどこなのか。

 

受容はすべてを受け入れること。

 

人は皆、自分にとって都合のいいものしか受け入れない。

だから人間関係がうまくいかなくなる。

 

会社では、上司にとって、部下の都合の良いところだけを受け入れてもらえる。

家族でもそう。学校でもそう。みんなそう。

 

だから、少しでも受け入れる姿勢を見せると、嬉しくなって心を開いてしまう。

詐欺師はそれをよく知っている。

詐欺師は受容しかしない。需要をすると、その人がお財布を開くことを知っているから。

目的はお財布を開いて自分に現金をもたらすことだから、いくらでも受容する。

心の中で、早く金出せよ、と恐喝していても、ことばや表情は受容しているのだ。

 

私はそのやり取りの姿を見たとき、とても驚いた。

 

受容 をこんな風に悪魔的に活用する人もいるんだな、と。

 

 

もし、親が子供に「受容」の姿勢を見せなかったらどうなるか。

 

親は毒となって、子供の生命力を奪います。

 

子は親がいないと生きていけません。しかし、その親が自分の存在を受け入れないのであれば、それはもう、生きる道がないのです。

 

昨今、生まれたばかりのお子さんを殺してしまうという悲しい事件のニュースを、多く見受けます。

その親御さんたちは、憎いとか邪魔とか殺したい欲求とかで殺しているのではなく、ご自身も「受容」された経験がないのでしょう。

 

自分の体から生まれてきた赤ちゃんを確かに愛しているのでしょうが、

泣かなければいい、寝ているだけならいい、と、自分にとって都合の良い部分だけを受け入れ、受容していないのです。

 

そういう受容を知らない人たちが増えていくというのは、とても怖い社会になると思います。