先月 日本舞踊のお稽古をいたしました。
そのことを母と話しておりました。
私の母は小さい頃かなり熱心に日本舞踊を習っていましたので、ものすごく日本舞踊に対しては目が肥えております。
私の公演でも日本物があるとなかなか厳しい目で見ておりました。

私のひとつ上級生でいらっしゃる汐風幸さんは、片岡仁左衛門さんの娘さんです。
母が「さすがに汐風さんの裾さばきは美しい」と熱く語っていたのを思い出します。

そんな母が「あなたどういう風に教えているの」と聞いたので
「両手を胸に合わせて、まず下手を向いて、耳を上手側に片向けて、その時に胸は少し下手に向け、その少し上手に傾けた耳の上の部分ですくいあげるようにして、顎を上手のほうに向ける。その時に左の肩は下げる」
みたいな感じで教えていると伝えましたら、とても驚いていました。

「全部そうやって口で教えているの?私たちは先生がなさるのをとにかく見て真似をするって感じだったわよ」と…。

「もちろんやりながら、口で説明しながらだし私たちも「見て学べ」だったよ。でもね、今の子供たちは1から10じゃなくて0から11まで全部一つひとつ言葉で言ってあげないとダメなのよ。
「見て学ぶ」で言えば、日本舞踊だけじゃなくてジャズダンスも一緒でしょ。でもジャズダンスでも全然真似ができないのよ。
だから口で説明するのが難しいニュアンスみたいなものも、ちゃんと言葉で説明しなきゃならないから、私ったら語彙力がついて賢くなってしょうがないわよ真顔

そんな話しをしておりました。

ここ数年子供たちを見ていると「はい、説明して」「はい、どうしたらいいか言って」「さぁ、やって見せて」…そんな感じです。
6〜7年前は自分から必死に学ぼうと食らいついて「どうやったら、自分自身がかっこよく見えるか」を追求しすぎて、時々私に穴が開くのではないかと恐怖を感じる程見られていたような…不安不安不安  最近はそのような事は全くありません。

この母の話しを次のお稽古の時に本人に話しましたらとても印象に残ったそうです。
「よく考えたら、バレエは先生の動きを見て真似ていますが、那津乃先生はいつもわかるように説明をしながら教えてくださるので、それが当たり前みたいになっていたかもしれません。」このように話していました。

ハウステンボス歌劇団に行けば、説明をすることなく背中を見なさいと「見て学ぶ」ことを要求されることもあるでしょうし、私のように頭でも理解できるように説明を重ねながら教えてくださる先生もいるでしょう。
どのような先生に当たっても対応できる能力(対応力)を持っておかなくてはなりません。

彼女とはそのような細かい話しもする時間があってよかったなと思います。
11年目からはとにかくレベルを上げたいとハウステンボス歌劇団側が強く思っておられるようなので、ここ1ヵ月ほどはあらゆる面で気になることを全て伝えていこうとしております。
そして私のところに来たからこそ知ることができた。学ぶことができた…これは同じ世界ですからいくつもあると思います。
何とか彼女の役に立つように…と思ってレッスンをしている日々です。

私が説明をしなくても「見て学ぶ」ことも出来てほしいと思っています。
その証拠に「コッチミテ」Tシャツを2枚も持っていますうさぎ