大切な事 | 那津乃 咲のレッスン&わんにゃん日記

那津乃 咲のレッスン&わんにゃん日記

福岡に在住する元タカラジェンヌが、ダンスや歌のレッスンの事、日々のちょっとした事を皆さんにお伝えしま~す。

ここ数日改めて考えさせられた事がありました。

人によって「大切な事」は違うと思います。

数日前、私より下級生ではありますが元々人柄も良く、さらに現在大変な立場に立っていて よりその人格が磨かれたような子から大切な言葉を教えてもらいました。

「素晴らしい舞台人は、素晴らしい人間であれ。」
この言葉に恥じぬ、まずは1人の人間として正しく生きていく事が出来る心を伝えていきたい。

やはり何よりも「人間性」「人格」みたいなことを大切に思っているのだなぁと嬉しくなりました。

ブログでも常々記事にしておりますが、何よりも「日ごろの言動」が大切であると私は思っております。
その積み重ねで品格・人格などが養われていくのではないかと考えます。
歌やダンスがいくら上手でも素行が悪ければ尊敬される事はありませんし、その素行の悪さがふとした時の言動や目つき顔つき、歌や踊りの端々に出てしまうと思います。


それはその人自身のお育ちが影響しているように思えてなりません。
どんな団体に所属していたとしても変な行動に出ることなく、真面目に誠実に人として正しくあろうと心がけている人がほとんどです。
そこでよほど品のない言動をするのは元々のお育ち…育ってきた環境で染み付いてしまった物事の考え方とかそういうものではないかな…と。

ずいぶん前の話しなので時効ということで…。

こちらには珍しく素行の悪い子がいました。
私や周りの子にも散々迷惑をかけまくっていました。
初めて宝塚受験をして帰ってきた時に、やっと「先生が話している意味がわかりました。これまですみません、心を入れ替えます。」と話しましたが、
それまで14年間染み付いた物事の考え方…週に1度数時間、私と接したところで家に帰ればその環境に戻るのです。

それでも妙に根性があって2年ほど通っていたと思います。
ある時その子が松葉杖をついてやってきました。
学校で体育の時間に怪我をしたと…。お母様もご一緒でした。
「これを機会にもう辞めます」と…。
「では、もうすぐレッスンも始まるから、皆さんにご挨拶するでしょ?」と聞きましたら「いいえ、このまま帰ります」とポーンポーンポーン
隣にいたお母様も特に何も…「あなた最後はきちんとご挨拶して辞めなさい」と言うこともなくそのまま2人で帰っていきました。

これは私の責任でしょうか?
そのお宅の…お母様の御教育ではないでしょうか
私がいつも言いたいのはこういう事です。
「宝塚受験ですから、先生に全てお任せします」と言われても私ではどうしようもない部分があるのです。

時々「宝塚受験を始めたからこうなった」「那津乃先生に言われてこうなった」と思いたい親御さんや本人がいますが、ずっと見ているとそれは違うように思います。
「そうなったのは・そうするのは元々のお育ちや環境ですよ」 みたいな事が少なからずあるように見えます。


人によって「大切な事」は違います。
中には歌やダンスさえ上手であれば良いと思う人もいるでしょう。
しかし、それだけであれば上手にできない人を見下したり馬鹿にしたりする人もいるかもしれません。

人柄が良く、真面目で誠実で心が整っていれば、歌やダンスが上手じゃなくても上手になる努力を出来ると思います。
私たちのような仕事はとにかく人に見られている。
本来、見られているからきちんとするわけでは無いですが、まだその自覚や責任が持てない人はまず「見られているからきちんとする」と考えてみても良いかもしれません。
とっかかりがそれでも、それで「自分自身の価値が上がる」事に繋がるのであれば良いのではないでしょうか。

これは政治家や芸能人など公人はもちろんですが、そうでない人でも同じだと思います。

いつも申しておりますが、人は必ず「何かしらの団体に所属している」立場にあります。
学校、会社、地域など…。
自分に関わってくださる皆様に恥をかかせないように、迷惑をかけないようにするにはどのような言動をするべきなのか。

少し物事がうまくいったからといって、おごった物の考え方をしていないか。
理解していないのに、分かっている振りをしていないか。
本当のことを知りもしないで知ったように話しをしていないか。
自分の考えだけが正しいと思い、人の話しを聞かないような態度を取っていないか。

ふとした時にこれらのことを人間は忘れがちになります。
今回これらをもう一度私自身考え直す機会を下級生から与えてもらいました。
私などの話しをとても大切に思ってくれて、やりとりをしている中で先程の「素晴らしい舞台人は素晴らしい人間であれ」を教えてもらいました。

今も舞台を務めているその下級生の精神、本当に素敵だと思います。
メッセージに向かい頭を下げたほどです。

素晴らしい舞台を作ろうと、常に自分を磨き続けている人達を思い浮かべると皆さん歌やダンスの技術を磨くことももちろんですが、それ以上に「人としてどうあるべきか」を深く考え、常に自分自身と向き合って反省を重ねている人たちのように思います。

私の生徒になった人達にはそのようなことをまず第一に大切だと考える事が出来る人になって欲しいです。