以前 記事でも紹介いたしましたNHKの「事件の涙」という番組。

覚えておられる方も多いかと思いますが、以前「食品偽造事件」がありました。
賞味期限を偽造したり、産地を偽造したり…。

取り上げられていたのはたしか下請けをしている冷凍食品を保管する倉庫を持っておられる会社だったと思います。
賞味期限が切れているのにシールを張り替えて出荷しなくてはならない事が重なり続け告発をしたのだったかと…。

すると、勇気ある行動だと称える人がいる一方、裏切り者だ、なんて事をしてくれたんだと叩いてくる人もいて最初は「よくぞ言ってくれた」などと言っていた人たちもだんだん離れていき、その会社と契約をしてくれる会社がなくなってしまいます。


その社長には、男の子と女の子のお子さんがおられます。
女の子は学校でいじめに遭い、とうとう飛び降り自殺を図ります。
一命を取り止めましたが、寝たきりの生活になりこの社長であったお父様が24時間介護しています。

寝たきりとは言え生きているのですから、もちろん排泄物もあるわけです。
お父様は「ちゃんと出てよかったね」とまるで赤ちゃんに語りかけるように話します。
この放送の時は、その女の子もすっかり大人になっており「パパごめんね。ごめんね。ごめんなさい。」とろれつの回らない口で言っている姿が何とも言えないものでした。
お父様は「何がごめんなさいや。ちゃんと出るものが出て、お前が生きとる証拠やないか。嬉しいで。」と…。

長男の方は、何とか支援者の方の力を借りて…今でも支援者の方がおられるようで…会社を再建したいと必死に頑張っているけれどなかなかうまくいきません。
あの事件から一体何年経ったでしょうか…。
世間ではほぼ忘れられているような事件ですが、今でもこんなに大変な人生を歩んでいたとは。


先日レッスンでこの話しをいたしました。
大学生の生徒は「せっかく勇気を出して正しい事を言ったのにそんなことになるなんて…。」と。
そして高校生は
「そもそも告発されるような企業であることが問題なのではないでしょうか。」とバシッと言い放って、
大学生と目を丸くして「ごもっともです」と驚き

本当にその通りです。

この高校生は中学3年生の時から見ていますが、こんなにしっかりした考え方を持てるようになっていたなんて…いつの間にびっくり

こちらの教室は人数が少ないため、マンツーマンのようにレッスンをしています。
ものすごく闘争心があって「人と比べられることでやる気が出る」タイプの人には向かないかもしれませんが「自分はゆっくりと丁寧に教えてもらわなくてはわからない。」とか「バレエは出来るけれどジャズダンスは勝手がわからない」みたいな人には良いようです。

昨日のレッスンでもその高校生は「全て正しい答えを持っている」のです。
「これができないのはなぜだと思う?」
「これがこうならないのはどうしてかな?」
私はダンスでも、時に頭で考えて理解をして踊らせることがあります。

歌もダンスも脳🧠と筋肉💪両方に覚えてもらうためです。

そのような時に彼女は毎回正しい答えを言葉にすることができます。
そのたびに「あーた毎回そこまで分かっているのにもったいない。なぜ実践できないのかしら」となってしまいます。

口で言うのは簡単でも実際に身体を動かすのは難しいことも多いので仕方ないのですが…汗

ダンスをやっている人の中には、この正しい答えを導き出せない人もいると思います。
彼女も最初は人数の多いダンススタジオに通っていて、訳がわからないまま踊っていた…そんな感じでしたが、こちらに変わってダンスに対する理解力が高まったそうです。

声楽の時間に、彼女は割といろいろな話しを自分からしてくれます。
それを聞いて私も自分なりの意見を話してみたりするのですが、彼女は物の考え方や精神面がずいぶん立派に・大人になってきたなぁ…と感心しています。

「事件の涙」から離れてしまいました…あせるあせるあせる

「そもそも内部告発されるような企業であることが問題である」この彼女の言葉はなかなか印象的でした。