おはようございます
タオさきです。
さて、先週から小説をUPしています。
小説 「本当のこと」④
ヨーガのある日はお昼を食べない、という眞規子さんと、パートが休みの次の木曜日の十二時に、彼女の最寄り駅だという隣の県のある駅のロータリーで待ちあわせた。
手袋をはめながら、彼女とどんな話をしようか、考えていると、薄くピンクがかったシャンパンゴールドの外車と思しき車が葵の前で止まった。
車の中から、ドアを開けて、眞規子さんは「こちらまで来てくれてありがとうね、寒かったでしょ?」と助手席へ座るよう促した。
「いえいえ、失礼します」
とかなりゆっくりとした動きで車に乗ると、すぐに眞規子さんは発進した。キョロキョロと車の中や彼女の横顔を好奇心のままに観ては失礼だろうと思ったが、彼女が座っている革のシートは上品な車の外観とは打って変わって背もたれの中心部が赤で両肩のあたりだけ黒になっていてスポーツカーを思わせるかっこよさだった。
車の中に漂う重厚なコロンの香りに、葵はそれ以上、キョロキョロする前に、少しクラクラしてきた。そのうちにじんわりとお尻が心地よい温かさで包まれた。どうやらシートそのものにヒーター機能がついているようだった。
「今日のランチ、わたしのお気に入りのカフェでいいかしら?」
「はい、とても楽しみです」
どんなところに連れて行ってくれるのか、とワクワクしていると、十分もしないうちに、ガラス張りの素敵なサンルームが見える、白い一軒家カフェに着いた。
六台も車がとまっている広い駐車場から、
大きなオリーブの木が数本みえる入り口に向かい、眞規子さんが、真鍮のドアノブに手をかけて木の扉を開け、続いて入ると、お店は、お昼どきなのもあって、平日にも関わらずお客さんでいっぱいだった。
つづく
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