「明日の6時間目は腕相撲大会をします!」
「えー」
「つまんね~」
あらら。
やはり、高校生には物足りなかったか。
クラスの生徒の反応を見て、私は何とかやる気になってもらいたいと思った。
「賞品があるといいかもしれませんね」
同じ学年を組む教員と相談して、おおげさにならない程度に、ちょっといいものを用意することにした。
浮かんできたのはチョコレートパイだ。
パイシートと板チョコがあれば、帰ってからでも簡単に作れる。
原価も安いし、お腹も満足するだろう。
パイシートは3袋、板チョコは5つ用意した。
これで24個分。
2枚の天板に6個ずつ載せ、まずは12個分。
これを2回繰り返し、1時間で完成した。
「すご~い! 美味しそう」
まずは、夫と娘に1個ずつ渡す。
残りはすべて学校に持っていき、生徒への賞品、教員へのおすそ分け、保健室の先生への差し入れにする。
「えっ、賞品あるの? チョコパイ?」
「先生が作ったって、本当?」
「よーし、負けないよッ」
チョコレートパイ欲しさというより、私のやる気が伝染したらしい。
どのクラスも盛り上がり、ワイワイと賑やかにトーナメント戦が行われた。
「先生、一番になった! チョコパイ美味しかったよ」
「ごちそうさま」
勝者からはうれしい一言もあり、素直でいい子たちに感動する。
コンビニなどで、もっと豪華なスイーツが簡単に手に入る時代である。
こんなに、手作りが歓迎されるとは思わなかった。
そして、この翌日、調理実習があった。
クリスマスが近いから、ブッシュドノエルを作るという。
「難しそうだけど、ちゃんとできるのかしら……」
そんな心配は無用だった。
「失礼しま~す、笹木先生いますか」
私を呼ぶ生徒の声がした。
「はーい」
声のする方に行くと、ケイコがにっこり笑って待っている。
「これ、余ったんです。よかったらどうぞ」
「ええーっ、すごい!」
まるで、チョコレートパイのお返しのように、ブッシュドノエルをちょうだいした。
ココアパウダーが利いていて、甘さもちょうどよく、とてもいい出来だ。
見た目は売り物にかなわないけれど、味では決して負けていない。
いやあ、手作りっていいものですね。
※ 他にもこんなブログやってます!
「これはしたり~笹木砂希~」(エッセイ)
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「えー」
「つまんね~」
あらら。
やはり、高校生には物足りなかったか。
クラスの生徒の反応を見て、私は何とかやる気になってもらいたいと思った。
「賞品があるといいかもしれませんね」
同じ学年を組む教員と相談して、おおげさにならない程度に、ちょっといいものを用意することにした。
浮かんできたのはチョコレートパイだ。
パイシートと板チョコがあれば、帰ってからでも簡単に作れる。
原価も安いし、お腹も満足するだろう。
パイシートは3袋、板チョコは5つ用意した。
これで24個分。
2枚の天板に6個ずつ載せ、まずは12個分。
これを2回繰り返し、1時間で完成した。
「すご~い! 美味しそう」
まずは、夫と娘に1個ずつ渡す。
残りはすべて学校に持っていき、生徒への賞品、教員へのおすそ分け、保健室の先生への差し入れにする。
「えっ、賞品あるの? チョコパイ?」
「先生が作ったって、本当?」
「よーし、負けないよッ」
チョコレートパイ欲しさというより、私のやる気が伝染したらしい。
どのクラスも盛り上がり、ワイワイと賑やかにトーナメント戦が行われた。
「先生、一番になった! チョコパイ美味しかったよ」
「ごちそうさま」
勝者からはうれしい一言もあり、素直でいい子たちに感動する。
コンビニなどで、もっと豪華なスイーツが簡単に手に入る時代である。
こんなに、手作りが歓迎されるとは思わなかった。
そして、この翌日、調理実習があった。
クリスマスが近いから、ブッシュドノエルを作るという。
「難しそうだけど、ちゃんとできるのかしら……」
そんな心配は無用だった。
「失礼しま~す、笹木先生いますか」
私を呼ぶ生徒の声がした。
「はーい」
声のする方に行くと、ケイコがにっこり笑って待っている。
「これ、余ったんです。よかったらどうぞ」
「ええーっ、すごい!」
まるで、チョコレートパイのお返しのように、ブッシュドノエルをちょうだいした。
ココアパウダーが利いていて、甘さもちょうどよく、とてもいい出来だ。
見た目は売り物にかなわないけれど、味では決して負けていない。
いやあ、手作りっていいものですね。
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「これはしたり~笹木砂希~」(エッセイ)
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)