板橋区役所に行く用事があった。
「わー、初めて! 周りにどんな店があるんだろう」
習慣で、ついつい、「ついでに買えるもの」を検索する。いくつかの候補から、私が惹かれたのは新月堂の「いたばし最中」だった。時代を感じさせる橋の丸みと、扇形の洒落た形状に、ただならぬ実力が漂っているではないか。
「おっ、いいぞ! ご当地感があって、美味しそう。欲しい!」
一応、12個入りを箱で買ったのだが、3時のおやつに間に合わせようと、写真を撮る前に配ってしまった。しくじった。一応、箱ぐらいは撮っておくか。江戸時代の宿場町としての活気が絵筆に宿っている。
包みを開けると、最中がお目見えした。両面に絵柄と文字が入っているのだが、表面の文字は、いたばしの「い」がかすれていた。
写真向きでないかな、と裏返してみたら、裏面は「し」が消えかかっている。まあ、読めればいいか。
皮はパリパリ、牛皮はモチモチ、餡はシットリで、かなり満足度が高かった。これは土産物に最適だ。
最中だけでなく、若鮎という菓子も買ったら、店の印が押された袋に入れてくれた。伝統を感じるではないか。
江戸時代の板橋に興味がそそられた。商品説明を読み、最中の歴史を学ぶ。板橋は、中山道第一の宿場町として、江戸の出入口として、にぎわっていたそうだ。宿場町は上宿、中宿、平尾宿の3つに分かれており、上宿と中宿の間を流れる石神井川に架かった橋が板橋という名だったとか。住人だけでなく、幾多の旅人や大名に、お付きの人たちが渡ったに違いない。
橋はやがて地名となり、今に至るのだから興味深い。
当時は石神井川沿いに茶屋があり、旅人がだんごや餅を頬張りながら、くつろぐ姿が見られたという。いたばし最中は、江戸時代の板橋の情景をお菓子に託して、歴史・文化の象徴として製造されているらしい。なんとなく選んだ和菓子だが、ピピッと来た理由はこれだったのかと納得した。
「自信を持って薦めます」と言われたかのような、お店の矜持と心意気が、少なくとも私には届いている。はるか昔の、江戸時代の和菓子屋さんと心が通じた気分になり、ちょっとうれしい。
また買いに行きます。
※ 他にもこんなブログやってます!
「これはしたり~笹木砂希の毎日~ 」(エッセイ)
「いとをかし~笹木砂希~ 」(エッセイ)












































