いつもより早目に家を出て、爽やかに出勤した。

「おはようございま~す♪」

 朝の挨拶も気持ちいい。

 机に行くと、何やら見慣れぬものが置いてある。

 緑の袋に入ったお菓子のようだ。

 商品名を目にしたとたん、途中まで伸ばした手を引っ込めた。


 きゃあっ、生八つ橋!!


 エッセイ集に書いたこともあるが、私はこれが食べられない。

 ニッキの匂いで、もうダメだ……。

「それは、吉田先生からです」

 隣の先生が出所を教えてくれた。

「どうしよう……。私、八つ橋が食べられない……」


 さて、こういう場合、正しい行動はいかなるものだろうか。

 吉田先生に「ごめんなさい。食べられないのでいりません」と返品するのは気が引ける。

 かといって、「ありがとうございました」とお礼を言い、こっそり他の先生にあげたとしたら、再度八つ橋攻撃を喰らうリスクがある。


 うーん……。


 すがすがしい朝はどこへやら。

私は悩みながらも、八つ橋を他の先生にパスしようと頑張った。

「どうです? もう1個。ああよかった、じゃあ召し上がってくださいね~♪」

 相手の返事を待たず、半ば強引に押し付ける。

 そのあと、吉田先生と顔を合わせたので、まずはお礼を言った。

「先ほどは、どうもありがとうございました」

 時間が経ち、わざわざ食べられないことを知らせなくてもいいと思い直した。

 しかし、他の先生が気を利かせてくれたようだ。

「いえいえ、こちらこそ、変なものを配ってしまって申し訳ありません」

 吉田先生は、私が八つ橋の処理に困っていたことを知っていた。

「次は、食べられるものを持ってきますから」

 絶妙のフォローに頭が下がる。

 しかし、食べられるものをもらうと、せっかくのダイエットが……!!


※ 他にもこんなブログやってます!

 「これはしたり~笹木砂希~ 」(エッセイ)

 「いとをかし~笹木砂希~ 」(エッセイ)