明石の上は、源氏が朧月夜とのエッチがバレて須磨に隠遁した時に、
受領階級である明石の入道と出会い、彼によって娘である明石の君との交際を勧められ、
やがて現地妻になった人です。
源氏が京に帰れるようになり、明石の上は一時現地に置き去りに。
しかし、明石の上が妊娠していることを知った源氏は京に呼び寄せます。
明石の上はライバルが多い源氏の邸には行かず、親の別荘に住みます。
彼女は女の子（明石の姫君）を出産します。
源氏はその子を紫の上の養女にして、養育の一切を任せます。
明石の上にしてみれば残念で悔しかったことでしょうね。
源氏の明石の上への愛は変わらず、六条院に迎え入れた時も、正月用に新調した高級品の衣装を贈るほどでした。 当の明石の君は、受領階級出身の我が身を「人の数にも入らない身」として、ひたすら謙虚にふるまっています。
成長した明石の姫君は今上帝の中宮として入内し、母親である明石の上はお付きの人となります。
受領階級出身女性としては大出世で、身分的には紫の上より上になりました。
源氏の愛に溺れることなく、女としてより母親として生きた明石の君が好きです。
でも、女の意地悪が見えてしまって、好きだけど嫌いな女になりました。
というのは、源氏の正妻として迎えられた「女三宮」が降嫁した時、明石の上は紫の上あてに、
「今のお気持ちは？」なんていう芸能レポーター並みの手紙を送っているのです。
傷心の紫の上に対して何という思いやりの無さでしょう。
傷口に塩を塗り込むようなこんな行為を平気でする明石の上には幻滅です。
子供ができなかった紫の上。源氏一番の愛人として女王のような位置にいても、身分格差から正妻にはなれず所詮愛人は愛人。
源氏が義理でやむなく、女三宮を正妻にしたことは紫の上にとって、この上無い悲しみ。
そうでなくても源氏が須磨に隠遁した時に自分は留守を守ってしっかり主婦していたのに、明石の上という愛人を作って子供まで産ませて・・・。
そういう紫の上の心を察しできない明石の上の内心の優越感や意地悪さに、私は嫌悪感を覚えるのです。