ご存じアガサ・クリスティーが生み出した名探偵ポアロ。
ベネチアで世間から離れて暮らしているポアロに、
友人である女性作家が「霊能者が口寄せをする屋敷があるから」と誘いに来た。
ポアロは端(はな)っから、非科学的なものは信じない。
しかし、友人は「あなたの理屈を超えた存在を認めなさい」と、
作家らしい意見を言う。
二人は子供の亡霊が出現するという屋敷を訪ねた。
そこには、屋敷の女主人、降霊者の女性、医者など何人かの接待客が集まっていた。
降霊が始まった。少女の声が聞こえる。
ポアロは、物陰でささやく少女の姿を目撃した。
しかし、接待客や降霊者が殺害され、ポアロ自身も殺されそうになる。
ポアロの謎解きが始まる。
一連の殺人犯は、少女を殺した人。
ポアロが物陰で見た少女は、実はポアロに盛られた幻覚剤だった。
最初から、ひとりの頭脳明晰な少年の存在が気になっていた。
ポアロがこの子に気付いたことが事件解決に繋がった。
陽光溢れる昼間のベネチアの美しい風景と夜のそれとの明暗の差が、
物事や人の心の表と裏を表現するようで、そんなことも読み解くと
ミステリーは一層面白くなる。