いやはや、完全に騙されました。

 

 柊一(しゅういち)は、大学時代の友人や従兄たち7人で山奥の地下建造物を訪れた。

建造物を探し当てた時はもう夕暮れであった。

 そこに、キノコ採りに来て道に迷ったという親子3人と出会い、

10人は地下建造物で一夜を過ごすことになった。

 

 そこはかつて振興宗教の地下施設として使われ、拷問の道具やら

多くの工具、電気設備などの部品や保存食料があった。

幸い、蛍光灯は灯った。

 

 建物は地下3階から1階まであり、部屋数も十分にある。

人々はそれぞれの部屋で就寝することに。

 

 ところが明け方、地震が起き、建物の出入り口が巨岩で塞がれてしまった。

電波は圏外。救助は呼べない。

 悪いことに水が流入し、地下3階から徐々に浸水し始める。

地下1階まで浸水するには未だ数日の余裕があるが、このままではいずれ全員溺死である。

 助かる方法は、誰かが岩を内側からどけるしかない。

その誰かは建物内に独り残されるわけだから、他人を助けるために自分が犠牲になるのだ。

 では、誰が?

 

 そんな焦燥と絶望に近い状況の中で殺人事件が起きる。

誰もが犯人は誰か、と疑心暗鬼。

 時間をおいて2人目、3人目の殺人が。

犯人を探し出し、岩をどける役割を担わせるのか。

そうすれば、残りの全員が助かるが、

その全員は、犯人を殺すことになり、殺人罪になるのだろうか。

 そんな葛藤も加わる。

 

 柊一の従兄・翔太郎の優れた観察力と現状分析と推理のお蔭で、

犯人を絞り込むことができたのだが・・・。

 結末は悲しいものに。

 

 この作品には”逆転の発想”がいくつか用いられている。

私は、普通に読み進めて、消去法で犯人を2人まで絞り込めたが、

電気知識やスマホの知識がないので、最後の一人を割り出せず、

またその動機にも辿りつけず、結局、完全に騙されたのであった。