メリヤス
メリヤス〖medias; meias〗〔靴下の意〕
一本の糸で、一つの輪奈に次の輪奈をからめながら、平面または筒状に編んだ布地。表と裏の編目が異なる。伸縮性に富む。〔「莫大小」「目利安」とも書く〕
大辞林より
メリヤスといえば、編み物のメリヤス編みのことを思い浮かべる方も多いと思います。
伸び縮みができる編み目のことをそういうのですが、この「メリヤス」が舞台用語として使われていることをご存知でしたか?
このメリヤスについて、国立劇場のホームページで特集が組まれ、インタビューをしていただきました。
そのインタビューを動画で収録していても良いか尋ねたところ、OKをいただきましたので、その様子をYouTubeに UPしました。
この演目でメリヤスが用いられるのは、クライマックスの長町裏の段。
団七が義平次を手にかけてしまうシーンでは舞台上の太夫・三味線の演技が止まり、人形のみの演出となります。
とはいえ、無音でするような場面ではないので(無音の場は仮名手本忠臣蔵「判官切腹の段」という緊張の場面があります)、若手の太夫・三味線のメリヤスが用いられます。
義平次を殺める場面で、遠くから夏祭のお神輿の掛け声が聞こえ始め、殺めた後に全身の血を井戸水で拭き取る団七の側でお神輿が勢いよく担がれます。
太夫はそのお神輿の掛け声を担当しています。
現代は「わっしょいわっしょい」ですが、芝居では「ちょうさ、ようさ」と掛け声を掛けています。
「ちょうさじゃ、ようさじゃ」と言っていたようです。
遠くから向かってきている様子も、目の前で担いでいる様子も同じ場所で担当するので、きっちりと分けなければいけません。
本舞台の上で語り分ける練習にもなる、このメリヤス。
他の演目では、お経を唱えたり、呼び込みの声を担当したり、舟唄を唄ったり、たくさんパターンがあります。
お芝居で確かめて楽しんでください。
とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。
その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中
豊竹咲寿太夫
オフィシャルサイト
club.cotobuki
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