こんばんは。
人形浄瑠璃文楽の太夫、豊竹咲寿太夫です。
さきじゅと呼んでください。
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今日は
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豊竹咲寿太夫
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文楽でよく上演される
三番叟。
おめでたい時や、幸福を願いたい時に上演される演目です。
厳かな感じや、目出度い感じといった、雰囲気は存分に感じていただけると思うのですが
いったい何を言っているのか分からない!
という方は多いはず。
三番叟は能の「翁」を原本としています。
数回に分けてこの三番叟の中身の解読を連載しようと思います!
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舞台が開くと、背景には松の絵が飛び込んできます。
これは、能舞台からの引用ですよ、ということで、能が原本となっている演目の多くはこのようになっています(歌舞伎も同様です)。
三番叟は景事 という部類の演目で、物語というよりは舞踊的儀式的要素の強いお芝居です。
この景事の演目のほとんどは太夫・三味線が大勢並ぶ、並び物となっています。
その中でももっとも上の演者をシンと言います。
幕が開くと、シンの太夫が厳かに語り始めます。
文言はこうなっています。
***
それ、
地神の始め、天照御神。
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今日はこの部分を解読していきたいと思います。
「それ、豊秋津洲の大日本」
まずはこちら。
なんのこっちゃ、と思われるかもしれません。
むかし、孝安天皇という天皇がいました。
記紀の所伝で第六代天皇だそうです。
この孝安天皇の時代、大和国の異名として秋津洲が使われるようになります。
今の「日本」の異名です。
そして「豊」は「大きい」「広い」という意味があります。
これを含めて、昔の書物に「豊秋津洲」とは
本町の地形。
蜻蛉の両翼をのぶるがごとし
とあります。
ですので、
それ、豊秋津洲の大日本
とは
それ、まるで蜻蛉が両翼を広々と伸ばしているかのように広大な日本の国。
となります。
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その続き。
国常立の尊より、天津神七世の後、地神の始め、天照御神。
前後しますが、天つ神とは天上の神のことで、天つ神七世というと
国常立の尊を1代目とした7代の神々のことです。
そのあと、天上から地上へと降りる神々が現れます。
この神々を天つ神と反対に国つ神というのですが、総して「地神」と言いました。
それら地神の最初が、天照御神だったのです。
つまり、このひとくぎりは
日本に関連する神々のことを語っているのです。
ということで、三番叟解読!その①は冒頭部をご紹介しました。
冒頭部では日本と日本の成り立ちを語っているということが分かりました。
ではまたその②でお会いしましょう!
文楽をもっと知りたい!
という人にオススメの本
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