大阪旅行で初めて文楽を観る方に令和2年文楽四月公演の幕見席をオススメする理由とは! | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫


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#文楽はじめました
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大阪での観光は何処がよいのか、とよくお尋ねいただきます。
それはひとえに、私が大阪で生まれ育ち、また大阪の芸能の一端に属していることが関連していることは間違いあるまい、と唇を舐めております。


さて、観光の場所でしたら、オーソドックスに大阪城や海遊館、ユニバーサルスタジオをおすすめします。



が。


ここで今月こそオススメさせていただきたい。



大阪で生まれ育った、世界無形遺産の芸能の存在を!!!!







歌舞伎であらば、よくテレビに出てる人たちがいるためかなんとなく想像がつくけれども、あとの能と文楽って何がどう違うか分からないし、スターウォーズとコラボしたりナウシカしたりしないから、お堅くて敷居が高いんじゃない?





という方は、ものすごくたくさんいらっしゃることでしょう。


いやはや、むしろ、文楽とはいったいなにであろうか。
という読者諸兄が大多数だと自覚いたしている次第であります。


文楽は人形浄瑠璃という芸能の中のひとつで、この記事を書いている私は演者「語り手パート」である太夫をしております。


さて、文楽を観るとなっても、何をどこで上演しているか分からぬ!というあなた。


この記事を開いてくださったことに、頭を垂れて御礼申しあげたい。


これは決してステルスマーケティングではございません。
ステルスが機能しておらぬからです。
ましてや、サブリミナル効果を狙ったなどという、頭の回転が将棋の盤面でいうところの五十も百も先を見渡せるような遠眼鏡を持つ人間が書いた記事ではございません。








令和2年4月の国立文楽劇場で上演の公演をぜひ観に来てください!








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[きつねただのぶさん【ゆるい文楽・歌舞伎】]








愚かしくも正直に申しますと、宣伝でございます。




と、そこでページをそっと閉じそうになったあなた。
そう、そこのあなたです。
そういうあなたにこそ、四月の公演に来ていただきたい!


四月公演は

昼の部(第一部 10:30開演)



夜の部(第二部 16:00開演)


に分かれています。



そうして、肝心のお芝居の内容でございますが、かの有名な指輪物語のように三部作に分かれており、

昼の部で第一部を

(その物語では死んだと思われていた武将が幽霊に扮し、かの義経を討ちに向かうのです)

夜の部では第二部・第三部を

(鮓屋の倅がなんという体たらくか、悪餓鬼のまま大人になったのですが、それが全く誰も想像し得なかったことを成す物語と、狐が化けてかの義経に近づいて一体その目的は何であろうかという物語であります)

上演いたします。



大切なことを申し忘れておりました。


お芝居のタイトルは、








義経千本桜。






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Yoshitsune be with you.




題名から察していただけるであろうと、私は悠然と珈琲を嗜みながらこの記事を書いているのですが、その名の通り、義経の物語です。


とはいえ、実は義経が主役然とせずに、三部の各部の主人公たる人物の行きつく先にいる人物として描かれているところがミソであるのです。


時代に敏感な諸兄であれば、お分かりであろうが、かのスターウォーズの最新三部作における、ルーク御台のような存在であるのです。

すべての功罪をその身に引き受けた、山奥へ逃れている英雄。


それが、今作の義経であります。


つまり、レイやフィンやポー、そしてカイロ=レンのような主人公然とした人物が物語を牽引していくのでございます。




そうして、彼らを見通しているかのように、常に存在を匂わせている義経という存在。










それがこの義経千本桜です。






あらすじにつきましては、また次回持ち越しということにさせていただきまして、今日はこの上記の義経千本桜におけるイメージだけをつかんでいただけましたら、私は珈琲を上燗に持ちかえて喜ぶ所存でございます。





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初めての方におすすめの「幕見」




さて、指輪物語の映画ロード・オブ・ザ・リングを全て鑑賞すると10時間以上かかるのと同様、この義経千本桜も昼の部と夜の部を全部観ると10時間以上かかります。



もちろん、手練れの文楽愛好家も、昼の部と夜の部を続けて感劇するのは、お尻との相談で了承を勝ち得た猛者でございます。


全部の話を鑑賞される方は、昼の部と夜の部を別の日にご覧になることが多いのです。





はてさて、未だ文楽の繁みに身を任せていない読者諸兄にとりましては、なんともチョモランマな話か!と、そっとこのページを閉じられるかもしれません。



が、もう少しばかりお待ち下さい!



実は大阪での公演に限り、なんとも便利でお得な観劇方があるのです。


今この記事をご覧になっている諸兄にこそ、こっそりお教えいたしたい。




幕見というシステムを。



昼の部にせよ、夜の部にせよ、開演してからノンストップで終演まで椅子といっしょになっている訳ではございません。



それぞれの話の中身がさらに細分化されていて、第何話、何話というように、話数ごとに分かれています。

そうして、ひとつのまとまり、章というのが例えとして分かりやすいかと考えておりますが、そのまとまりが終わりますと、休憩時間を挟みます。



通常のチケットですと、そこからさらに2時間や3時間ご観劇いただくわけでございますが、この幕見席は、小分けにされた「章」の部分だけを観劇できるというなんともお気軽なチケットなのです。



この「章」、短ければ30分程度、長くても2時間程度、つまりはアニメ1話ぶんから、映画一本ぶんの分量でご観劇いただけるというシステムでございます。

しかもお値段は500円から2000円程度。


初めてにはぴったりではございませんか!


さらに、今回の義経千本桜。

どの章を切り取っても遜色なく面白い、練り込まれたお芝居となっております。



ここまで読んでいただいた皆さま、ありがとうございます。


ぜひともこの幕見席を活用して、手軽に一度ご覧になっていただければと思っています。










お待ちいたしております。
















とよたけ・さきじゅだゆう
:人形浄瑠璃文楽
ぶんらく
太夫

国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
ぶんらく
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
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